- 彼女たちの事情/新津 きよみ
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この主人公たちはいつかの、そして明日の貴女かもしれません。
17人の女性が主人公の17のミステリー・ホラー
神経にふとひっかかる、小さな小さな違和感。
それが瞬きする間に、膨張し増殖していく。
遠い記憶が、忘れたい時間が、よみがえる。
新津きよみが、きらめくような才気で描き出したのは、日常の陥没だ。
無駄のない展開と鋭い切れ味。
その正統的短篇ミステリの手腕には、いつもながら舌を巻く。
篠田節子《作家》――
――――― 帯より
個人的評価 : ★★★★☆
怖いよ……。
ゾクッとしたり、ザワザワしたり、ひんやりしたり。
1編あたりが短いこともあってか、
先が読めちゃうものもあるんだけど、
面白かった。
男と女の関係の中で、
家族との関わりの中で、
かつての知り合いや、新しい人間関係の中で。
きっかけは小さな悪意だったり、出来心だったり
少しの無神経だったりする。
それはきっと現実の社会にもそう珍しくないものな気がして。
「いつかの、そして明日の貴女かも」というのにも思わず頷きそうに。
その中の一人になんてなりたくはない、
自分はそんなことしない、
巻き込まれるような付き合い方はしない、と思う。
その反面、「何かきっかけがあればもしかして……」
なんて少しの恐怖を感じたりもする。
新津さんはまだ数冊しか読んでいないけど、その中では一番好き。