- 藁にもすがる獣たち/曽根 圭介
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あの金さえあれば。
大金の入った忘れ物のバッグを、ネコババしようとする初老の男。
暴力団に2000万円もの借金をして、返済に窮する悪徳刑事。
FXで失敗した借金を返すために、デリヘルで働く主婦。
金の誘惑におぼれ、犯罪に手を染めていく、
獣たちの運命は――。
――――― 帯より
個人的評価 : ★★★☆☆
4つにいくらか寄る3つ。
「獣たち」というのは
帯にある初老の男、悪徳刑事、主婦の3人のことかと思って読んだんだけど、
印象としてはちょっと違ったな。
確かに3人ともお金にまつわる何かを抱えていて、
それぞれに罪を犯しもするんだけど、
この3人を同列に並べることに少し躊躇う。
「初老の男」を後の2人、特に悪徳刑事と並べて「獣」ということには。
ネコババという一線を越えるかどうかは置くとして、
彼にそうさせた幾つもの問題、トラブルは
自分にもいつ降りかかるかも分からないものだったりもして。
この3人よりむしろ、「獣」に一番しっくり来たのはあの女だな。
3人のそれぞれの筋を繋ぐ、あの女。
「金の誘惑におぼれ」ながらも、とても(狡)賢い獣。
あの筋とこの筋がここで繋がって、あれとこれはこう絡んでて……、
というのが予想と遠からずだったり、全くの驚きだったり。