- 見えない鎖/鏑木 蓮
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失踪した母、殺害された父。
そこから悲しみの連鎖は始まった。
私は“幸せ”ですか?
人間の“業”とは、そして幸福とは。
乱歩賞作家が問いかける、予測不能の人間ミステリー
母に捨てられ、父を殺された有子。
犯人の自殺、消えた青年、母との再会。
鎖のように繋がる怒りと悲しみ。
そして叶わぬ恋――。
人間が持つ“業”に翻弄されながら、
一人の女子短大生は自分の道を歩き始めた。
本当の“悪”って何?
――――― 帯より
個人的評価 : ★★★★☆
小学生のときに母親が失踪し、父親を突然殺され、
おまけにその犯人は……、その家族は……という
とんでもない災難に見舞われながらも有子は強い。
父親を喪って当然相当に傷ついているし、
母親との再会も苦悩の一因になってはいるんだけど
それでも怨みや嘆きだけじゃなくて。
周りの人に恵まれている、と言うのはあったろうけど
それも彼女や父親がそういう人を周りに呼ぶ、
という部分もあるだろうし。
災難を不幸にしない力、信じる心、というのは面白かった。
どちらも私には残念ながら足りないものだ……。
母親がどうも好きになれないんだよな……。
失踪そのものに関しても、
現在の姿や再開後の振る舞いも、
置いていった煙草の意味も。
諸悪の根源である人物のあの最後は少々やりすぎな気もしたけど、
わりと面白かった。