- 60秒の煉獄 (光文社文庫)/大石 圭
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「あなたに特別な力を授けます」。
天使か悪魔か――
謎めいた美少女が人々に授けたのは、
たった1度だけ時間を1分間止める能力だった。
世界のすべてが静止する60秒。
誰にも知られず、邪魔されることもなく、
思うがままにどんなことでもできるのだ。
大金を強奪する。
憧れの女性を恣にする。
憎い男を抹殺する……。
欲望と妄念に翻弄される男女の姿を描く、異色連作集。
――――― 裏表紙より
個人的評価 : ★★★★☆
突然与えられた特別な力、
とても恐い、気持ち悪い使い方をする人が多くて少々ぐったり……。
裏表紙にある「憧れの女性を恣」「憎い男を抹殺」というのは
共感はしないまでも解らなくもない。
だけど、描かれた60秒の使い方のいくつかは
私の理解の枠からは随分と遠く外れたところに。
踏切や交差点や駅のホームでの使われ方は。
人助けの60秒にホッとして、延命の60秒に泣かされて、
後の殆どは恐怖と嫌悪感と気持ち悪さ。
人助けの最後も少々厭な感じもするけど、それはまあ想像の範囲内。
ある人が力を使ったあのタイミング、
ただ死を待つしかない60秒ってどんな恐怖だろう。
1度だけ、60秒だけ時間を止める力なんて
私の頭では有効な使い道が解らん。
最初の人がしたこと、あの女性がしなかったこと、
と同じ類の使い方くらいだろうか。
そんな場面に遭遇しなければそれに越したことはないけれど。