『タンポポの雪が降ってた』 香納諒一 | 鈴と空のブログ

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タンポポの雪が降ってた (文芸シリーズ)/香納 諒一
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乾いてせつない香納諒一の短篇世界
あのときも、こんなふうにして、タンポポの雪が降っていた……
甘美な恋の思い出が交錯する表題作ほか、
時を悼み、心の詩を奏でる珠玉の全七篇。

甘美な恋の思い出と裏切りの痛みをたどりなおす、

グレイハウンドの旅(「タンポポの雪が降ってた」)。
豪華客船の最高級キャビンを借りきる青年は、

何を思ってギャンブルをつづけるのか(「海を撃つ日」)。
雪が染める元旦の新宿で年賀状をとどける郵便局員は、

華やかな女の孤独なメッセージに出合う(「世界は冬に終わる」)。
平凡な日常を抜けだして、バリ島で男を囲うOLが、

タンドットの流れる浜辺で見たものは――(「ジンバラン・カフェ」)。
少年時代にあこがれたグラビアの少女……。

ふとした感傷が、時をへだてて突きつける人生の哀しみ(「歳月」)。
旅が彼女の幸せだった。

だが、幸せは、なんて脆いものだろう(「大空と大地」)。
世間と折りあいのつかない兄と家族の絆を守る弟。

再会は、やがてほろ苦い別れを呼ぶ(「不良の樹」)。
珠玉と呼ぶにふさわしい、気鋭作家充実の短篇集――
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★☆☆


初めましての香納さん。


初めましてということもあって、
読みやすそうな短篇集から選んでみたんだけど、
果たしてその選択は正解だったか否か。


どの話もわりと低温な感じと言うか。
「乾いて」と言うのもとてもしっくりきた。


読むタイミングや環境が違えば、
「心の詩を奏で」られたのかもしれないけど、
今回はどうにもサラリと流れていってしまった感じで。


どの話の登場人物にも裏切りや歪さや傷がありはするんだけど、
そのどれもがサラリと。


それでも一番は『不良の樹』だろうか。
その最後の「ほろ苦い別れ」が印象に残る。
まるで想像もできない展開!ということでもなくて、
むしろ想像したとおりの部分もあるんだけど、
それでも全部読んで一番残ったのはそのシーン。