- 北帰行/佐々木 譲
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ロシア圏専門の旅行代理店を営む関口卓也は、
美貌の女性タチアナ・クリヤカワ(ターニャ)をアテンドすることになる。
だがターニャが日本に来た目的は、自分の妹を殺したヤクザへの報復だった。
事件に巻き込まれた卓也はターニャと逃亡をはかるが、
組長を殺された舎弟・藤倉奈津夫の執拗な追い込みをかけられるはめに。
一方、事件の捜査を担当することになった警視庁組織犯罪対策部の寒河江は、
やがて、全く見えない事件の本質と
日本で暗躍するロシアン・マフィアの動向に注目していくのだが……。
東京、新潟、そして稚内。
1000km以上に及ぶ極限の逃亡劇の結末は――?
警察小説の名手の新境地!
会心の長編クライム・サスペンス!!
――――― 帯より
個人的評価 : ★★★☆☆
個人的には「うわぁ……」な厭な結末だった。
主な登場人物の中で唯一堅気であるはずの関口。
自身でも度々そう言ってたのに。
それなのに何で最後はあんな選択になってしまうんだろうか。
それ以前からも、妹の一件を知って以降が特に
関口の行動はピンと来ないので
惹き込まれ過ぎることなくサラッと読んじゃった。
それでもラストまでは
藤倉との攻防なんかにそれなりにハラハラしたりもしたんだけど。
とにかく関口という人がまるでわからないんだよな……。
自分と家族の安全のため、というのが一番だったはずだと思うんだけど。
元々特別家族への愛情が深い、強いという印象でもなかったけど
それでも家族に迫る複数の危険について心配はしていたようだし、
母親からの報せには衝撃を受けてもいたようだったのに。
だからこそどうにも最後がな……。
百歩譲って実行犯のところに乗り込むまではいいとしても、
最後の最後がどうしてもいただけない。
そこまで読んでの関口の印象は
妹のことで傷ついている母親にとって、
自分のその選択がどれだけのダメージになるかなんてことを
まるで考えられないくらい馬鹿でも薄情でもなかったのに。
家族、母親のことが頭から完全に抜け落ちるくらい、
ターニャへの気持ちが勝ったのだとしたら、
それはそれでえらく唐突な感じだし。
本当に、かなり大きなマイナスになるくらい
嫌いな結末だった。