『ガーディアン』 石持浅海 | 鈴と空のブログ

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たまに真面目なことをかいたりもするかも。

ガーディアン (カッパ・ノベルス)/石持 浅海
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お父さんに恥ずかしくないように生きる。
それは、護られている彼女のルール。

幼児に父をなくしてから、勅使河原冴はずっと不思議な力に護られてきた。
彼女が「ガーディアン」と名づけたその力は、
彼女の危機を回避するためだけに発動する。
突発的な事故ならバリアーとして。
悪意をもった攻撃には、より激しく。
では、彼女に殺意をもった相手は?
ガーディアンに、殺されるのだろうか。
特別な能力は、様々な思惑と、予想もしない事件を呼び寄せる。
石持流奇想ミステリー、開幕!
――――― 裏表紙より


個人的評価 : ★★★★☆

多少3つ寄り。


冴の章と円の章とでガーディアンの印象が随分違った。
憑いている(護っている)ガーディアンが別人になったのかと思うくらい。


「突発的な事故ならバリアー」で
悪意のある攻撃には「利子」をつけて、ということだったけど、
円の章に入ってからはちょっと攻撃的、陰湿というか。


冴の章での痴漢に対しても少々やりすぎではあったと思うけど、
円の章の4人目の死者に関してなんかは特に

眉間に無駄に力が入っちゃった。

あの人は確かに円に銃口を向けたけど、
それは単純に悪意・殺意というのとは違うと思うんだけどな。


亡き父親に護られている、ということだけ聞くと「いい話」っぽいんだけど、
実は結構残酷な話か。


冴自身が分析した「それを知った人たちの反応」のどれもが

理解や共感できるものだから。
誰にも話せない秘密、知られてしまうと人が離れていきかねない事情を
背負わせるということなわけで。


悪意を向けなければ自分に危険はない、と頭では分かっていても、
手も触れずに他人の五指が逆方向に曲がったところなり
実際に自転車がひっくり返る瞬間なりを目撃してしまうと、
それはやっぱりなかなか受け入れがたい恐ろしさも感じるだろうし。


冴の章、
元々登場人物が限られていることもあるし
動機までは別として悪意の持ち主は呆気なく分かる。
おまけに「一日自分が必要になる」という同僚の言葉もあって
最後の日の出来事も予想の範囲内。


けど、円の章よりもこちらの方が好き。