『迎撃せよ』 福田和代 | 鈴と空のブログ

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読んだ本の紹介を簡単に。
あとは気になる人やニュースなんかについて思ったことを書こうかなと。
たまに真面目なことをかいたりもするかも。

迎撃せよ/福田 和代
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もしこの国に、隣国が攻め入ってきたら――。
明日夜24時、日本にミサイルを撃ち込む。
盗まれた戦闘機、予告されたミサイル・テロ。
官邸に届いた犯行予告の猶予は、30時間――。
気鋭の女性作家がえぐり出す戦慄と興奮!

われわれは、本日1930に自衛隊のF-2戦闘機を奪い、
東亜視していたミサイル一発を発射した。

航空自衛隊岐阜基地から、

XASM-3ミサイル4発を搭載した戦闘機F-2が盗まれた。
緊迫が高まる中、送りつけられてきた犯行予告動画。
ミサイル防衛に携わる航空自衛官・安濃将文は戦慄した。
俺はこの男を知っている!
かつて俺の上官だった男だ――。
日本を、家族を、自分たちの手で守れるのか?
決死の攻防に、一人の自衛官が立ち向かう!

――――― 帯より


個人的評価 : ★★★★☆


しばらく少々とっつきにくい感じがしたのと、
安濃の最初の行動に少々引っかかったのとで手こずったけど、
半ば以降は一気に読めて面白かった。


引っかかった安濃の行動。
ミサイルを搭載した戦闘機が盗まれたという

どう考えても異常事態のあの状況で
いくらかつて慕っていた上官のためとは言え
命令無視して独りで飛び出していくかね?と。


精神的な問題、迷い、苦悩を抱えているとはそれまでにあったけど、
いきなり暴走しすぎじゃないか、と思えて。


ただ、それが安濃の「子ども」と言われる部分であったり、
迷いであったりする、ということなのか。


別の思惑を持つ犯人グループの片方、
安濃のかつての上官一派が事件を起こした動機。
その大元にあった出来事、

彼を動かしたのは憂国ではあったのだろうと思う。


というか、そうだったと思いたい。
そうでなければ、彼を動かしたのが単なる狂気であったのなら
あの人たちがあまりに哀しくて。


きっかけは真剣な思いであったとしても、
それを表わす方法を間違えた悲劇。
その間違いのために、結果的に何人が命を落としたか。
そうでもしなければ伝わらない、届かないということなのか……。