『花まんま』 朱川湊人 | 鈴と空のブログ

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読んだ本の紹介を簡単に。
あとは気になる人やニュースなんかについて思ったことを書こうかなと。
たまに真面目なことをかいたりもするかも。

花まんま/朱川 湊人
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大人になったあなたは、何かを忘れてしまっていませんか?
大阪の路地裏を舞台に、新進気鋭の著者が描く
六篇の不思議な世界


トカビの夜
 あの日、死んだチェンホが私の部屋に現れた


妖怪生物
 大人を知らぬ少女を虜にした、その甘美な感触


摩訶不思議
 おっちゃんの葬式で霊柩車が動かなくなった理由


花まんま
 妹が突然、誰かの生まれ変わりと言い始めたら


送りん婆
 耳元で囁くと、人を死に至らせる呪文「送り言葉」


凍蝶
 墓地で出会った蝶のように美しい女性は今どこに
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★★☆


結構好きだった。


第133回直木賞受賞作だそうで。


「優しい」とか「懐かしい」だけじゃなくて
ちょっとした苦さもあるんだけど、
それも含めて好きな雰囲気。


やっぱり一番好みだったのは『花まんま』だろうか。
お兄ちゃんの姿にグッと来た。

特に彦根の駅での言葉なんかにはちょっと泣きそうに。

娘を喪った父の姿にも涙が出そうになる。
亡くしてからの変わり様もすごく辛くて涙が出そうになるんだけど
“花まんま”が何なのかがわかるところでついに涙。


『トカビの夜』でも泣きそうになっちゃったな。
母親と兄が近所を回るシーンで。


こうも簡単に泣きそうになってしまうのは
精神的に不安定なんだろうか。

「送り言葉」。

私はこれを引き継ぐ自信は無い。

何年も続く伝統を自分で断ち切ることになってしまうとしても

怖くて無理だ。


“人を死に至らせる”こと自体への恐怖というよりも

その呪文を悪用しない自信が無いから。


直接手を下さなくても(囁くだけで)

人の命を奪えるとしたら…。

踏みとどまれるかどうか自信がない。