『さよならの空』 朱川湊人 | 鈴と空のブログ

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さよならの空/朱川 湊人
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「新しいのに、なぜか切なく、懐かしい。
 この作品の主役は、夕焼けです。」
  ―――石田衣良


今日、世界から夕焼けが消えてしまったら
僕らは何を失うのだろう……?


現代人のよすがはどkにあるのか?
注目の新鋭が鮮やかに提示する感動長編。


拡大を続けるオゾンホールを食い止めるため、
化学物質ウェアジゾンが開発された。
しかし、それは思わぬ副作用をもたらすことに。
散布した空で夕焼けの色が消えてしまうのだ。
開発者のテレサは八十数歳のアメリカ人女性科学者。
テレサは胸の奥に秘めたある想いを達するため日本へ向った。
日本に着いたテレサは小学校三年生のトモルと
キャラメルボーイと名乗る若者と数奇な運命で巡り合い、
最後の夕焼けのポイントへ向う。


オール読物推理小説新人賞、日本ホラー小説大賞短編賞を受賞。
彗星の如く現れた小説界の大本命・朱川湊人が贈る現代の寓話。

――――― 帯より


個人的評価 : ★★★★☆


一言で言うなら好きだな。


「今まで読んだ朱川さんのとは違うのかな」
と思ってしばらくは読んでた。


環境破壊だとか科学者だとか、

書かれてる内容は少々「今までと違う?」。

なのに全体の雰囲気は「朱川さんっぽいな」なんて。
“切な”い感じとか“懐かしい”感じとか。


トモルとテレサが見る煉獄(幻)、
その場面のトモルが痛々しくて可哀相でちょっと辛い。
十歳やそこらの子が背負うにはしんどすぎる過去で。
トモルが「人の嫌がること」を進んで引き受ける理由。


その後のテレサたちとの関係の中で
一応の救いが見える(救おうとしてる人たちがいる)ので
読後感はそんなに悪くはないんだけど。


「夕焼けがなくなったら」って。
考えてはみてもピンとこない。
人命に関わる一大事を解決するためなら
それくらいの犠牲は仕方ないんじゃないか、って言ってしまうと思う。
夕焼けが消えたことに抗議して自殺するなんて…って。


今当たり前にあるものが当たり前じゃなくなるって
実際にそうなってみないと(失ってみないと)
わからないなんていうのは陳腐な言い方かもしれないけど
でもそういうものなのかな。