『陪審法廷』 楡周平 | 鈴と空のブログ

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あとは気になる人やニュースなんかについて思ったことを書こうかなと。
たまに真面目なことをかいたりもするかも。

陪審法廷/楡 周平
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あなたは、この「無償の愛」を裁けるか。
終身刑か、無罪か―――
決めるのは「明日のあなた」かもしれない。

来たる裁判員制度に警鐘を鳴らす、迫真の法廷サスペンス!


2004年、アメリカ・フロリダ州。
養父にレイプされ続けた少女を救うため、殺人を犯した日本人少年。
罪状は第一級殺人。
繰り広げられる、検察と弁護人の「正義なきディベート」。
減刑なしの終身刑か、完全無罪か?
少年の未来を決めるのは、12人の「普通のアメリカ人」
―――主婦、トラックドライバー、教師―――
市民が市民を裁くとは、どういうことなのか?
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★★★


かなり面白かった。
もともと私の好きな、興味のあるジャンル・テーマだということも
大いに関係あるかもしれないけど。


養父による性的虐待やそれを引金に起きた殺人と

事件そのものは酷い話なんだけど

それでも少年や両親がああいう人だったのは救いか。

少女と養母、陪審員の中心的人物も。


アメリカの陪審員制度とまったく同じではないとはいえ、
日本でも裁判員制度が始まるわけで、
いつ自分にもお呼びがかかるかわからない。


その人が裁判員に相応しいかどうかのチェックにしても
これに書いてあるようにわざと選に漏れるように
偏ったことや過激なことを言う人もいるんじゃなかろうか。
その各人の普段の言動なんて確認しようがないし。


私はここでも前に書いたと思うけど、"基本的には”死刑制度には反対。
それに代わる減刑なし・仮釈放なしの終身刑なんかがない以上、
現状では死刑判決も仕方ないのか…、とは思うけど。


でももっと強硬に死刑反対だという人もいるだろうし、
逆に死刑に対して積極的に支持だという人もいると思う。
面接なりチェックの段階でそういう主張なんかも
あまり強いと選ばれないんだろうか。


正直なところ、こういう制度が始まる以上
参加してみたいと思う気持ちも少しある。
でもそれ以上に選ばれることへの不安もある。


実際に自分が裁判員として選ばれた場合、
その役目をきっちり果たせるかと考えると自信ない。


まず第一に他人の人生(や生命)を左右する決定に
自分がかかわるというプレッシャーは多分相当なものだろうし。
自分たちの話し合いの結果によっては死刑もありえるとなると
多数派の意見に乗った方が精神的に少しは楽なんじゃないか、
そう思ってしまうんじゃないかって思う。
「みんなもああ言ってたんだし仕方ない」って言い訳。


仮にその誘惑を乗り越えて自分の意見なり信念を貫こうとしても
例えば反対論陣に強面の人や高圧的な人がいたら、
その人たちを相手にちゃんと話できるだろうか。


事件に対してどう接するかって問題もある。
選ばれた以上、最初はきっと真面目に取り組むだろう。
でも話がまとまらず拘束時間が長くなってくれば
「早く終わってくれないかな」なんて考えてしまうかもしれない。
他人の人生を決める場への向き合い方として
それはいい加減すぎやしないか。


なんてことを考え出すと、
やっぱり裁判員なんで恐くてできない、と思ってしまう。