- 天使の屍 (角川文庫)/貫井 徳郎
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ぼくは死ななきゃいけないんだ―――。
次々に飛び降り自殺を図る中学生たち。
拭い切れない温もりの中で、真相を追う一人の父親。
彼らを“死”へと駆り立てる<子供の論理>とは…。
本格推理の気鋭が放つ異色長編!
青木は光岡の言葉を思い返しながら、
疲れた足を引きずるように自宅に向かっていた。
光岡は子供たちと価値観を共有することは
至難の業であると言った。
子供には子供の論理があり、
大人は決してそれを理解することができないのだと。(本文より)
――――― 1996年版 帯より
個人的評価 : ★★★★★
4つ寄りの5つ。
好きなんだけど難しい。
「次々と飛び降り自殺を図る」理由には驚いた。
確かに彼らの抱えてた悩みはものすごくしんどいものではあるけど、
遺される親の心配をしながら、それでも死ななきゃならないのか。
ネタバレにならないようにと思うから詳しく書かないけど、
4人のうちの1人、
あんなことのためにあそこまでやってしまうものか。
それが<子供の論理>で私はそれが理解できない大人なのかな。
中学生当時を思い出してもピンと来ない。
そんなことする前にもうちょっと頑張ってみればいいのに…とか。
最後にはちょっとした救いも描かれてはいるんだけど
それまでのモヤモヤの方が強くて。
「モヤモヤ」というと聞こえが悪いかもしれないけど、
決して嫌いなわけじゃない。
上手く表す言葉がわからないんだけど、
自分の中に「ストン」と入ってかない感じ。
かといって、前に他の作品の感想で書いたように
「気持ち悪い」ってだけで片付けるのもしっくり来ないし…。
『天使の屍』という話を好きか嫌いかで考えると好きなんだけどな。