2016年7月30日、otherghatのデビューライブが渋谷チェルシーホテルにて執り行われた。
後にも先にもたった一度きりの儀式。僕はその瞬間にどうしても立ち会いたかった。とはいえ“ポッと出の新人”じゃないし楽曲や歌詞、演奏やステージングの不安は一切ない。僕のこのライブに於ける視点は彼らが今まで積み上げてきたことを如何なる手段で乗り越えようとするのか…という一点に尽きた。
もちろん一人のソングライターが曲を書くのだから全く別物になどならないし、本当は比較など無意味で滑稽なことだけど、ずっと支えてきたファンに過去の幻影を拭い去ることなどできっこない。もちろん我々に当人たちの気持ちを計り知ることもできない。
かつてソロになったばかりの遠藤ミチロウは「スターリンが一番のライバルです」と言い放ち、甲本ヒロトと真島昌利は解散と再生を繰り返し、より進化したロックを魅せつづけている。
さて、小林大輔と山口克彦の2人に加え小菅健太、海老原真二、堀嵜ヒロキ(サポート)という海千山千のアーティストが僕に見せてくれたものは…………序章というにはあまりに潔く老獪なロックがそこにあった。
抑制されたbpmの楽曲、ときおり繰り出されるアップテンポのリズム、原風景的な歌詞、親子連れでも楽しめる大人のロックという意味、それら全てがステージ上からビシビシ伝わり何だか安心してしまった。
なにより、僕が彼らを支持する最大の理由である“ロックバンドへのこだわり”がロック・サウンドとなり、ライブ空間に、静かに、そして熱く充満し、ウネり、エネルギーを発していたんだ。
でもまだまだ物足りないぜ。次のライブでどのように俺を驚かせてくれるか。こんなもんじゃないはずだ。綺麗事に変わるには早過ぎる。奇跡を起こせ。バンドのミラクルを見せつけてくれ。
俺の知らないメロディー、聴いたことのないヒット曲、そしてアイノウタヲもっと。もっと。
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