歯科衛生士の佐藤エスミさんに聞く

 虫歯を防ぐために、毎日の歯磨きはとても大切です。しかし、子どもに歯磨きを習慣づけることは簡単ではありません。家庭での子どもの歯磨きについて、歯科衛生士の佐藤エスミさんに聞きました。

虫歯ができる4要因

 ――どのような時に、虫歯がつくられるのか教えてください。

 虫歯ができるのは①飲食物(砂糖)②歯質③虫歯菌④時間、の四つの要因がすべて重なった時に発生します。砂糖は虫歯が活動するためのエネルギー源です。歯の質が弱く、虫歯菌が口の中にたくさんいて、しかも歯に虫歯菌がついている時間が長いほど、虫歯になりやすいのです。

 虫歯菌は砂糖と反応して歯垢(しこう)を作ります。この歯垢が〝酸〟をつくり、長時間放置しておくと、硬い歯の表面を溶かして、虫歯をつくっていくのです。

 ――乳歯の虫歯にも注意が必要ですか。

 乳歯が虫歯になってもどうせ抜けてしまうから大丈夫と考えている人もいますが、大きな間違いです。歯の痛みで、しっかりかむことができないために、あごの骨の健全な発育の妨げになったり、歯並びが悪くなったりするなど、さまざまな悪影響がおきます。

 ――虫歯菌をなくすことはできるのですか。

 実は、虫歯菌は生まれてきた赤ちゃんの口の中にはいないと言われています。大人の口の中にある虫歯菌が、口移しなどを通して赤ちゃんに移っていくようです。

 一度、感染したら虫歯菌をなくすことはできません。ただ、虫歯菌はそれ自体が悪いのではなく、虫歯をつくる四つの要因の一つでしかありません。正しい歯磨きによって、歯垢を取り除き、虫歯菌の働きを抑えれば、虫歯は十分に予防できるのです。

つづく・・・