以前、UOMOの取材で『虎白』へ伺い、
その時にお話した時も「なんて気さくで素朴な方」という印象だった
『石かわ』の石川秀樹さん。
先週だったか、先々週だったか神楽坂を歩いていた時に、
開店前で準備中だった石川さんとバッタリ出くわしました。
しばらく立ち話をした後、
「今度うちにも是非~」
と誘っていただき、先日お邪魔しました。
素晴らしい器たちが喜んでいる様子で
丁寧に下ごしらえされたお料理を乗せ、鎮座。
うっとり。
石:「そろそろお食事って感じですか?」
里:「そろそろお食事なんですか?!」
石:「まだ食べるんですか?!」
里:「・・・・だめですか。」
なんて会話があったものの、ハマグリかと思われるほどの
大きなアサリの赤出汁と共に、お食事へ。
石川さんと、カウンター越しの会話も楽しいのです。
石:「従業員に、いつも言っていることがあるんですよ」
石川さんは、今日のお天気についてでも語るかのように
特に意識もしていない様子で話し始めました。
石:「たとえお客様が急にキャンセルしようと、
まして何の連絡もなくいらっしゃらなくても、
悪く思ってはいけないよって」
里:「悪く言うなということですか?」
石:「いえ。思ってもいけないと言うんです。
だって、何か事故に遭われたかもしれないし、
心配こそするけれども、他のお店と天秤に掛けたんじゃないかとか
疑ったりしないんです。僕はお客様を信じているから」
里:「というと?」
石:「他のお店の方から、『突然キャンセルされて
苦い思いをしたけれど、石川さんのところはどうしてるの?』
って聞かれたことがあるんです。
コース料理を出すお店では、予約の時に当日キャンセルでは
半額いただきますとか、回避策を立てているところも
あるんですけどね、それがいけないっていうことじゃなくて、
僕は絶対に来てくれると信じているから、
一度もお客様から突然キャンセルされたり
連絡なしにいらっしゃらなかったりということが
ないんですよ。不思議と」
この会話が、その日の一番のご馳走だったことは
言うまでもないでしょう。
思いは伝わり、また返ってくるものですから。
それは、とてもシンプルなことです。