精神障害者雇用義務化と障害者法定雇用率(3) | 萌えないゴミ∞集積所

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さらに続きです。


前記事は企業の法定障害者雇用数の計算に関する話でした。

三障害で雇用数のカウント方法やダブルカウント基準に差があるのが現状ですので、なるべく統一したわかりやすい基準が出来ればいいなと。
さらに言えば、発達障害や高次脳機能障害で精神障害者保健福祉手帳の所持を希望しない方や、難病など手帳制度の枠外になってしまう「その他障害者」は、障害者雇用促進法の枠組みに入れませんので、そのあたりはどうなのかと。

こういうのは当事者が声を発しても、なかなかすぐには改善されないんですよね……。


それはさておき。
ラストは、障害者雇用の場面でしばしば話題となる、最低賃金の減額特例の話をしようと思います。


◆最低賃金の減額特例とは

 一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、特定の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められています。(厚生労働省HPより)

対象となる労働者は
1. 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
2. 試の使用期間中の方
3. 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
4. 軽易な業務に従事する方
5. 断続的労働に従事する方
です。

障害者雇用の場合で対象となるのは、1と4でしょうか。

1.は雇用者の職務遂行能力を根拠とするパターン
4.は職務内容を根拠とするパターン
となります。
どちらも、減額を受けようとする雇用者の業務量が他の雇用者や他の業務に比べてどの程度の業務量に当たるかを計算し、その範囲内で最低賃金から減額した給与を支払うことが出来るというものです。

簡単に述べると、
他の雇用者の70%程度の業務量だと判断された人の賃金を、事業所ごとの最低賃金の70%までは減額して構わないという制度です。

ただし、
精神又は身体の障害により著しく労働能力が低い方の減額率については、
使用者からの申請に基づき、労働基準監督署の労働基準監督官が事業場に赴き、
①減額対象労働者と比較対象労働者の労働能率の把握を行い、減額率の上限を算出の上 、
②減額対象労働者の職務内容、職務の成果、労働能力、経験などを把握し、
これらを総合的に勘案して定めることとしている
ので、事業者の申請がそのまま認められる訳ではありません。


ちなみに、平成20年の改正最低賃金法の施行までは『最低賃金の適用除外』でした。
最低賃金を適用せずに事業者が独自に賃金を定めてよいという意味です。
そのため事業者が定めた時給が『100円』であっても制度上は問題なかったのですが、それじゃダメだということで現行法では最低賃金からの減額という方式に変更になりました。
ただ……現行法でも、基本時給が900円の事業所で、対象労働者の能力が他の方に比べて10%だと申請し、それが認められれば、時給90円でも許可が下りるんだとは思います。
そのような申請をする事業所、許可する労働基準監督署があるのかどうかは知りませんが、少なくともゼロではなさそうな気がします。


◆平成24年における減額特例の申請件数・許可件数

精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
・申請件数5,954
・許可件数5,965
軽易な業務に従事する者
・申請件数17
・許可件数23

申請件数より許可件数の方が多いのは、申請は数人分まとめて出して許可は個別、とかなのかな?
……ただ、申請したらほぼ許可されているような感じの数字なのは確かですね。



最低賃金の減額特例もなかなか難しい問題ですよね………
障害者の就労数から考えると、減額申請をしない企業の方が多いんだとは思います。
ですが、そもそも減額がなくても、障害者枠の給与は最低賃金に近い水準であることがほとんどです。
障害年金を併用受給していないと、給与だけではまず生活できません。
そこからさらに減額となると、仕事を辞めて生活保護を受給した方がマシなレベルになってしまいます……

また、減額をせず規定の時給を払う企業の場合、今度は逆に『障害者』と『指導係を含む周囲の健常者』が同じ時給なんてこともままあるわけで。
(私の勤務先はこちらのパターンです。)
正直、モヤモヤするなという方が難しいと思います。
……ぶっちゃけると、障害者枠で就労している私も、他の障害者枠の方と業務量を比較して、同じ時給ってどーよ?と感じることがなくはないです………。