「 昼下りの危険な乗客 浴槽に美女の死体が!」 (1993年)

(ゲスト)
十和田香織…香坂みゆき、 鐘崎史郎…長谷川初範、 吉川菜々子…川村一代、 両川隆司…斎藤洋介、 土上…河原さぶ 、 土上…河原さぶ、 夜明さん元妻(声)…太地琴恵

オープニング。軽薄な女性が乗り込んできて、「だからぁ~、乗せ乗せでいかない~。あなたは私を車に乗せてぇ~、だから私があなたを~、実は私、お金持ってないし」。無銭乗車なんだけど、セリフがひどいな。道を歩いていたやくざな友達を見つけ夜明さんに喧嘩を吹っ掛けさせるけど、夜明さん、逆に撃退。巡回中の警察官が間に入り、「警視庁の夜明警部補ではありませんか?」。はじめのころよくあった警察官による「警視庁の夜明警部補ではありませんか」のエピソードの始まり。

そんなこんなのゴタゴタのせいか、夜明さん、警察を辞めた時のことを回想。今回は、第1作の場面に加え、夜明さんの奥さんが声で登場(姿は見えない)。「どうして辞めたの?あの噂は本当だったのね。容疑者の妹に乱暴したっていうのは、本当だったのね!」「俺、信じらんないのか」「どうやって信じるの?毎日忙しがってばっかりで、私たち、満足な会話もないのよ!私たち、もう、夫婦じゃない。あなたにはもう、私の心の中が分からなくなっているのよ」。

土ワイ名物キャストスタッフ紹介。目線を外しておいてからのカメラ目線、というショットが多い。今回、印象に残ったのは河原さぶさん。そばを食べながら、カメラ目線。田舎の刑事さんのイメージなのかな、そばズルズル。よく分からない。

夜明さんのタクシーに乗り込んできた香織。夜明さんの知り合い。夜明さんと戯れていたあゆみちゃんがぶつかってすいかを割ってしまたご縁。行先は「どこでもいいから行ってください」と訳アリの模様。

香織は鐘崎工業の従業員。古美術展示会の準備のために2日前から社長の屋敷に泊まり込んでいるが、誰かに監視されているような感じがして、気味が悪くなり屋敷を飛び出してしまったとのこと。夜明さんが言い訳を考えてあげて、香織を屋敷に帰す。その途中に出会った、悲鳴をあげて逃げる女性と追いかける男性という状況に、香織が過剰に反応。結局、二人も恋人同士だったというオチだけど、夜明さんに違和感を残す。

三重県田曽浦にある鐘崎史郎の別荘で菜々子死亡。昔のドラマは死体役に迫真性があるなぁ。怖い。

菜々子殺人事件の担当者は田曽浦署の刑事、土上。東京での捜査を東山がエスコート。鐘崎に聴き込みを行った後、裏取りに夜明さんのところへ。土上の高圧的な物言いにムッとしながら、菜々子死亡推定時刻付近で香織を屋敷に送った際、鐘崎に会ったと証言する夜明さん。これで鐘崎のアリバイ成立。では、と帰ろうとする東山へ夜明さんのちょっと待ったコール(古い)。何の捜査か、応えようとしない東山に、「ほう、捜査の秘密。見上げたもんだねぇ。でもさ、このままじゃさ、俺、寝覚め悪くてしょうがない。こういう時、俺がどうやるか、お前が一番よく知ってるよな!」と東山のネクタイを掴んでプレッシャーをかける。東山、土上に助けを求めるが、とっさに顔をそむける土上。タイミングが絶妙だった。

結局、夜明さん宅で捜査会議。殺人事件は署始まって以来の大事件、田舎刑事となめられないように強気の態度だったけどと告白する土上さん。言ってしまったら、ホッとした、と人のいい笑顔。捜査状況を確認している途中で、香織から不審な中途半端な電話がかかってくる。

あゆみちゃんからの電話で起こされる夜明さん。「もしもし夜明です」「夜明じゃないってば、もうお昼よ」とおなじみのやり取り。一緒にアイスを食べながら、あゆみちゃんが学校のことをいろいろ話してくれているのに、夜明さんは捜査や香織のことが気になって上の空。それでも「お父さん、気になることがあるんだったら、私はいいよ」と言ってあげるあゆみちゃん。このころのあゆみちゃんは天使だな。

夜明さんが東山にかけた電話を取る神谷さん。このころの神谷さんは「東山君」とか気取っているけど、夜明さんについて「相変わらずだな、あの人は」って穏やかな表情でつぶやいているので、やっぱり初期から神谷さんは夜明さんに好意を持っているんだな。そういえば、神谷さん、まだ、眼鏡をかけていない。

 


ちょっとしたツンデレ。



夜明さん、香織の母から、菜々子が香織の高校時代の親しい友人だったことを聞かされる。15年くらいは音沙汰がなかったが、少し前に菜々子から香織に、手紙が届いたとのこと。このことを確かめに鐘崎宅の香織を訪ねる夜明さん。香織によれば、ずっと音信不通だったけど、半年前に連絡があって一度、菜々子に会った。ずいぶん様子が変わっていた。ここで、二サスファンなら一生に一度は言ってみたいセリフ「木よ。金のなる木が見つかったのよ」が出てきたのが妙にうれしかった。ベタすぎて逆に希少。
.
 競馬でも /      \ 今日はひれかつ  /               ノト
 当たったんですかぁ?   \   にするか / 俺、           彳ミ
 ( ´∀`)/           \ ∧∧∧∧/   金のなる木を     彡ミ
 ( つ[]0 今度ツケ払うよ  <    大 >   見つけたんだ… 彡彡ミミ
 |  /  ∇(´∀` )    < 予 金 >             彡彡ミミミ
       ┴⊂   )     <    が >              __ii|__
   ───────────< 感 入 >──────────
  ___ AA  いつもは  <    る >  ( *´∀`) わーい
 ~/▼ ■⊂ ・・ P 豚だけど< !!!!   >  /つ旦O―‐-.、
  | ● ●.(_∀)      /∨∨∨∨\  (´        ) きょうはカツよー>
  U U ̄ ̄U U        /死ぬ気なの! \ [i=======i]


2サス実況の予感AAはそれぞれ秀逸だと思う。

夜明さん宅での捜査会議再び。菜々子には両川という男がいた。両川は鐘崎の大学時代の遊び仲間で、田曽浦の別荘を鐘崎が買ったのも両川の口利き。その縁で別荘に自由に出入りできることから、両川が菜々子殺しの有力容疑者に。別れ話が拗れて両川が菜々子を殺したのではないかというのが東山の推理。
その両川は群馬のおじのところへ行く、といったきり、行方不明。群馬へ俺の車で行こう!と言う夜明さんに、「ありがとうございます」と土上さん。慌てて「ありがとうございます、って違いますよ。車って言うのはタクシーですよ。タクシーって、料金もきっちり取られるんですよ!」と抵抗する東山。タクシーを使うことについて、まあ、いいじゃないですか、と鷹揚に構えていた土上さんだけど、実際に走ったら、メーターの上がり具合にドン引き。

両川のおじはお寺の住職。両川は確かに来たけど、そのとき、あいつにお寺のご本尊を盗まれた、と住職はご立腹。ご本尊窃盗と菜々子殺し、両方、両川の犯行と考える東山と、違和感を覚える夜明さん。初期の夜明さんは、端々に敏腕刑事っぽい名残がある。

両川死亡。土上さんは、罪の意識からの自殺という見解。夜明さんは、腑に落ちてない。鐘崎邸に赴き、香織、鐘崎のアリバイを確認。鐘崎との会話が刑事としての会話のようで、まだこの頃は、刑事であった時の名残が色濃い。鐘崎を怪しいと思っているけれど、鐘崎と菜々子には接点がない。

鐘崎と菜々子の接点を探るべく、夜明さんは、群馬の両川おじの寺へ。そこで、それまでどうしようもなかった鐘崎が大学を卒業する年の秋に人が変わったように品行方正になった、という話を聞く。

両川のワゴン車が発見され、菜々子の髪の毛等が採取されたことから、菜々子殺しは両川の犯行、両川は自殺、という結論に。土上さんも田曽浦に帰るということで夜明さんにご挨拶。でも、いくつか謎は残っているとダメ出しをしたうえで、「よし、私の車で、明日、田曽浦まで走りましょう」と申し出る夜明さん。今回は土上さんも後ずさりして拒否。「捜査だよ、手抜きしちゃいけないよ。税金を払っていただいている、国民の皆さんに申し訳できない」「いや、ですから、国民の皆様が払ってくださっている税金だから、大切に使おうって言ってるんですよ。この間の観音寺往復だって、自分、神谷警部にハンコもらうときにこの手がどれだけ震えたことか」。でも、結局押し切られ、田曽浦までのロングを約束させられる東山。

とはいえ、さすがに田曽浦までのロングはなかなか言い出せず、ソワソワしていたら、その様子から察して、神谷さんが自分から夜明さんに電話をし、ロングを発注。この頃の神谷さんは口数少なく、渋いなぁ。

田曽浦までの道中で、何気ない「時効」という言葉から事件の真相に気づく夜明さん。ここ、このヒントでそこまでなぜ分かるのか、分からなかった。

真相解明タイム。菜々子、両川を殺したのは鐘崎。菜々子は鐘崎が15年前に犯した強姦殺人事件の目撃者。それをネタに菜々子が鐘崎を恐喝したので殺される。そして、菜々子殺しをネタに鐘崎を恐喝したのが両川。だから殺された。告白タイムのバックに鳴り響く吉田監督でおなじみのツィゴイネルワイゼン。娘さんのバイオリンの動きとあってなかったのが気になった。

香織と夜明さんの会話。香織は15年前の鐘崎の強姦殺人を菜々子と一緒に目撃していた。菜々子が殺されたとき、鐘崎の犯行だと感づいたが、警察に真相を話すのではなく、鐘崎と話し合うこと、つまり買収されることを選んだ。夫を亡くし、心臓に病を持つ幼い息子を抱えた女が頼れるものが何か、それを手に入れるためにきれいごとでは済まされないということが、夜明さんには分からないだろう、と言う香織。「暮らしのために心を売ったっていう痛みはありませんか」「やっぱり、夜明さんには私の心は分かりません」「鐘崎はあなたのこと、しゃべってません。これからも絶対しゃべらないでしょう。私ももう刑事じゃない、あなたのことを喋るつもりはありません」「夜明さん、私は罪になりますか。・・・法律以上の罰を受けるんですね」。逮捕されるより、逮捕されずに後ろめたさと不安を抱えて生きる方がきついなぁ。ここに「私の心の中が分からなくなっているのよ」という元奥さんの声をかぶせて、苦さ倍増。

エンディング、あゆみちゃんの電話で再び起こされる夜明さん。「はい、夜明です」「夜明じゃないってば、もうお昼よ!お父さん、また私待たされてるのよ」。あゆみちゃんと2人でお買い物。あゆみちゃんのおねだりで、晴れてるのにかわいい傘を購入。エンドロールのバックでふざけて笑いあっている二人がかわいくて仕方がない。

夜明さんは、香織とはあまり絡まずに、もっぱら東山たちと一緒に捜査をしている。まだ「あの人が犯人なわけない」は出ず。 ラストはシリーズの中でも苦いエンドトップ3に入るんじゃないかなぁ。夜明さんと香織のラストの話が雰囲気も含め、とてもよい。香坂さんを見ると、国生さんを思い出す。香坂さん+狂気(凶器)=国生さん、ということなのかな。