「 伊勢志摩 貝の中の殺意 真珠をめぐる同時殺人!! 魔性の女の完璧すぎるアリバイ!? 」 (2015年)

(ゲスト)
神崎睦美…高岡早紀、 神崎幸代…黒田福美、 進藤俊彦…葛山信吾、 田中雄太…蟹江一平、 青木公男…本城丸裕、 豊川健一 … 谷口有、 神崎隆一…伊藤洋三郎、 進藤千夏…月影瞳

【オープニング】
故郷について。「はなだにおねがいしまーす」と故郷なまりきつく乗り込んできた蓉子さん。「ぞーゆうの夢を諦めて、国へ帰るんですー」「ずーりえっどがやりたかった」と嘆くけど「オー、ロミオ、あんたはなすて、ロミオなの」では無理だと思う。夜明さんも苦笑い。「人には、帰る場所が必要だ。帰るべき故郷、待っている家族。たとえ故郷を捨てて出てきても、故郷はその人を捨てたりはしない。」


夜明さん、睦美を乗せて府中刑務所へ。出所してきた青木に、10年前、なぜ父が死んだのか、と問う睦美。青木と睦美がもみ合いになったところへ夜明さんが割って入り、争いをおさめる。その後、青山の進藤ジュエリーへ睦美を送ったところで、あゆみちゃんと遭遇。今回は、遭遇が早いな。

あゆみちゃんの案内で進藤ジュエリー店内を見学する夜明さん。486万円を48万6000円と見間違え、あゆみちゃんに「一けた違うでしょ」と指摘されて、一けたずつ数えなおすしぐさがかわいい。子供か。

睦美はジュエリーデザイナー。あゆみちゃんは、前にバイトをしていた出版社が睦美の特集を組んだご縁で進藤ジュエリーでアルバイト。「また?」というごもっともな夜明さんの指摘に、「今はまだ、いろいろな可能性を試しているときなの」と答えるあゆみちゃん。「そういう時期って、もうちょっと、過ぎたんじゃないか」というさらにごもっともな指摘にも、「全然すぎてない。私にはまだまだ無限の可能性があるの」とあくまでポジティブ。夜明さんも渋々「ハイ」としか言いようがないよなぁ。とはいえ、あゆみちゃんの適応能力は誇っていいと思う。

青木死亡。東山たち臨場。「ヘイヘーイ」と国代を煽る馬場さん。相変わらず仲がいい。

青木は、10年前の強盗傷害事件の犯人だった。青木の供述で睦美の父 神崎隆一が共犯者として捜査の対象となるも、青木逮捕の翌日に死亡。逃げきれないと悲観しての自殺、というのが公式の記録。青木が出所したとき、タクシーの運転手ともみ合った、という馬場さん情報に敏感に反応する東山と国代。「大同交通、1、6、4、6」「やっぱり!」「また夜明さんかー!」。今回のこの流れ、息がぴったりで、すごく好き。

休憩中の夜明さんを事情聴取する東山たち。そこへ、徳井さんが鎌倉までのお客さんを連れてやってくるけど、事情聴取が終わっていないから、と東山たちが阻止。結局、野村さんにお客さんを奪われる夜明さん。野「困っているときはお互い様」、夜「全然困ってないよ」、とか、ここの会話も好きだなぁ。「ずるいよ、野村さーん」。

夜明さんが府中刑務所へ送った女性客の名前が神崎睦美と知って、ひそひそ話す東山と国代。睦美が何か事件に関係あるの?→民間人には(略)→ほっぺたつねり、のいつもの流れだけど、今回は鎌倉の恨みもプラス。「この口か、この口が民間人なんて言ってんのか。この口のおかげで、鎌倉のお客さん、逃したんだぞ。乗れ、乗れ」と強引にタクシーに乗せて、睦美のもとへ。

当然のことながら、東山たち、あゆみちゃんと遭遇。「また!また!」「どうなってんだよ、この親子」。睦美を事情聴取する東山たち。青木死亡時のアリバイは、夜明さんのタクシーで横浜に行った、ということでいったん証明される。

強引に東山たちを店外へ追い出し、お門違いの人を疑うな、と説教する夜明さんに、「民間人に指図されたくない」と口答えしたので、また、ほっぺたをつねられる東山。そろそろ「民間人」はNGワードということを学習した方がいい。「無能な刑事が来たからさぁ、鎌倉までのロングのお客さん、逃しちゃったのよ」とあゆみちゃんに説明する夜明さん。無能のなすりあいをする東山たちに頭をさして「コンコンやってごらん、音しないよ」とか、このくだりもみんなかわいくて、大好きだ。

睦美を「魔性の女」と罵る千夏。この回、魔性の女という言葉が何回出てくるか数えようかと思ったけど、途中で分からなくなってやめた。二桁はいっているんじゃないかな。

伊勢志摩の鳥羽へ睦美からロング発注。「イチロクヨンロク夜明さん♪」、「鳥羽です鳥羽です、伊勢志摩までのご指名が来ましたー!」のリズミカルな無線は徳井さんの味。バンザーイ、バンザーイ!

鳥羽へはあゆみちゃんも一緒に。タクシーに乗り込むときのやり取りが面白かった。「あゆみ、お前も行くの?」「先生のドアドアドアドア」「あっ、はい」「はい運転手さん出発、行先は賢島の松井真珠店、ゴーゴーゴーゴー」「はい」。あゆみちゃん、自由だな。

松井真珠店の前で幸代と遭遇。娘の母に対する冷たい態度。病気で働けなくなった父に代わって、母が居酒屋を始めた。学校から帰るといつも酔っぱらって接客している母を見るのが嫌だった、と埠頭で夜明さんに告白。洋三郎さんのお父さんがいいなぁ。誠実で、温かそうなお父さんがよく似合う。この埠頭で青木に遭遇。睦美とは中学時代の同級生。

10年前の事件で負傷したガードマン、豊川。片足が不自由になったことで仕事を失い、妻とも離婚。事件に人生を狂わされた豊川が、青木の出所後、青木をつけまわしていたことが判明。警察がマークしようとしていたタイミングで殺害される。

夜明さん、強制起床。いい加減にしろ、いつもいつも、と抗議をする夜明さんに、いつもとの違いを説く東山と国代。今日のめざしは鳥羽で買ったお土産の最高級品とのこと。「しー、ほら、耳を澄ませてください。焼ける音が違うじゃないですか。ほら、煙が、色が違います。あー、香りが違う」「同じだよみんな」「えー、この違い分かりませんか。先輩のこの目はどこを見てるんですか、この鼻は飾り物ですか、この耳はパンの耳ですか!」。パンの耳www

青木殺しについて睦美を疑う東山。横浜に行っていたとアリバイを主張する夜明さん。共犯がいたのではないか、という話の流れで、睦美が俊彦の愛人ではないかという噂を口にする東山に、「えっ」と動揺した様子を見せた後、ムキになる夜明さん。「あー、ひょっとして夜明さんまで、睦美の魔性にやられたんですか」。東山と喧嘩。「それになんですかさっきから。睦美さーん、睦美さーん、睦美さんは嘘をつくような人じゃない。嘘をつかない人間なんていません!」。で、東山たち、高級めざしをすべて食べつくして夜明さん宅を出る。おみやげなのに、1匹も夜明さんの口に入らなかった。かわいそうにw

豊川殺しの現場近くに田中がいたことが判明。東山たちが田中に連絡をしようとしても連絡がつかない。田中の部屋から10年前の血痕がついた札束が発見される。10年前の事件の共犯者は、隆一ではなく田中だった。その結果、田中が、青木、豊川殺しの容疑者に。

国会議事堂前で休憩中の夜明さんに睦美ではなかった、すみませんでした、とお詫びに行く東山たち。「ほら、俺の言ったとおりだろうが。それをお前たち、睦美さんが犯人だとか愛人だとか」。って、愛人かどうかは否定されてないし、関係ないと思うけども。魔性にやられて使い物にならない、と言われたことも怒っている夜明さん。東「その件に関しましてはですね、現在、民間人であるとはいえども、大変遺憾に存じております。ですから、前言を撤回させていただきます」、夜「国会、行ってこい」。お詫びにタクシーに乗せてほしい、鳥羽に行くから、という東山の一言でご機嫌になるけど、行先は東京駅と聞いてまた激怒の夜明さん。「すぐそこじゃないか!走れ、走れ、走れ!」。

「イチロクヨンロク夜明さん、またもや神崎睦美さまからのご指名です。しかもなんと、帰りも込みの貸し切りの、鳥羽までー。行ーけますねー」と徳井さんからの涙まじりの無線。徳井さんも二朗とは違う味でかわいいなぁ。

10年前の事件の隆一に対する容疑が晴れ、探し求めていた真珠も見つかった、ということで隆一の墓参りに来た睦美。そこへ幸代が現れる。幸代へ冷たい態度をとる本当の理由を口にする睦美。自分は隆一の子ではなく、幸代の不義の子ではないかという疑惑。そういう姿を見せた後、夜明さんに縋りついたのは魔性のなせる業か。

鳥羽のホテルで東山たちと遭遇する夜明さん。そこへ田中から東山に電話。青木と豊川を殺したのは自分、責任は自分で取る、という内容。そのすぐ後で田中の遺体発見。

自宅に戻った睦美を千夏が襲撃。スーッと恨めしそうな顔をして現れた千夏がすごく怖かった。夜明さんが駆けつけて睦美を保護。取り調べで、千夏が、青木殺しの時刻、田中を睦美の自宅マンション前で見た、と供述。今回、事件の筋にそれまで出てきた要素が絡み合ってて、面白いな。

俊彦の愛人は睦美ではなくそのアシスタントである白石涼子(橘美緒)だった。俊彦クズいな。睦美に千夏の行為を詫びたその口で、睦美の仕事を涼子にチェンジする、と告げるとか、結構最低な部類かも。

司法解剖の結果、田中は自殺ではないことが判明。田中の遺体のそばで、幸代のネックレスが発見される。田中殺しの容疑が幸代へ。

神谷さんの夜明さん宅訪問with一升瓶。睦美が怪しいという神谷さんに反発する夜明さん。でも、俊彦の愛人が睦美ではなく涼子と分かったとき、「ということは、睦美さんは、犯人でもなければ、愛人でもない。そうだよ、あの人、そんな人じゃないもん」と言う夜明さん。愛人か否かにやけにこだわるな。さすが魔性。

で、魔性にやられている、と指摘されて、「馬鹿なこと言ってんじゃないよ」とキレる夜明さん。で、バーカと子供けんかになり、来るんじゃなかった、来なくていいよ誰も頼んでないよ、となり、もう帰ります、となって神谷さんが一升瓶を持って帰ろうとしたけど、珍しくそれを止めて、持ってきたもんおいていけ、ケチ、ケチ、と最後まで子供な夜明さん。もう来ません!と怒って帰る神谷さんだけど、どうせまた来るんだよね。

お客さんからのヒントタイムで真相に気づく夜明さん。あゆみちゃんとお茶をしながら、睦美がけがを負った時期を確認して、さらに確信を得る。神谷さんに連絡を取るため、あゆみちゃんの携帯を借りるときのやり取りが仲良しで好きだ。「いい加減、携帯買ったら~。お父さんだけ、時代が昭和だよ~」。夜明さん、第17作(藤田朋子さん回)で、携帯は縛られているように感じるから嫌い、と言ったから、それを頑固に守っているんだと思うけど、そういうこだわりが好きだ。

告白タイム。青木、田中は睦美が、豊川は田中が。田中、ダメ男だけど、報われない思いに振り回されて、哀れだな。一平君はとことんクズか報われない男の役が多いが、今回も好演。睦美の幸代に対する誤解も解けてよかった。隆一は神様みたいな人。洋三郎さん、いいなぁ。

【エンディング】
お土産を忘れた夜明さんに、「薄情な父親だなぁ。あっ、もしかしてホントの父親じゃないんじゃないの」と言うあゆみちゃん。その頭をペチンと叩いて「本物の父親だから、馬鹿な娘心配してるんだろうが」と夜明さん。頭、結構大きな落としてたけど、大丈夫?と思ったけど、「本物の父親なら、焼き肉おごって」と続いてたから、大丈夫だな。伊勢といえば松坂牛,のおねだりに、「松坂牛って高いだろ」と財布をごそごそする夜明さん。その財布をのぞき込んで、「大丈夫。松坂牛目指してしゅっぱーつ」と元気なあゆみちゃん。松坂じゃなくて、名古屋とか横浜で手を打たない?と言う夜明さんでエンド。

心に来るものはあまりないけれど、あちこちちりばめられた要素が事件の筋にそれほど無理なく絡んで話が進んでいくし、合間合間の会話も面白くて、好きな作品。特に、東山たちと夜明さんの絡みがいちいち面白かった。