ELでCPってみよう JS編 | Shudder Log

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* このブログの内容はすべてフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。

 張り合うつもりはなかったが、自然と食事のペースが早くなった。
 
結果、超特急で店を出ることになり、予定していた映画の開映まで手持ち無沙汰になってしまった。
 
『もう少し店で時間潰してもよかったかもな』
 
見るともなくとショーウィンドウを眺めながら、イライが言う。
 
「店に居たらまた食っちゃうだろ。で、腹一杯になったら、眠くなるだろ」
 
イライは振り向いて、笑顔を見せた。
 
『確かに』
 
早く行ってもしょうがないしな、と呟いて肩をすくめる。
 
さっさと映画館に入って、ロビーで一眠りという手もあるな、と俺は思った。
 
口を開きかけて、思い直す。
 
『まあ、たまにはいいかもね』
 
ウィンドウの反射越しに目が合う。
 
『何もすることがないなんて、あんまりないし』
 
イライのすぐ後ろに立って、肩を抱いた。
 
「それも、二人だけで」
 
ガラスに映ったイライを見つめて言う。
 
正確には、他人はたくさんいる場所なのだが。
 
『確かに』
 
笑顔を浮かべたイライの腕が、俺の腰に回される。
 
通りの人波に戻るためウィンドウから離れながら、周りに気付かれないように、俺たちは素早くキスをした。