HMでトライアングラー 1 [fragment] | Shudder Log

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* このブログの内容はすべてフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。

KEやKSも考えたけど、やっぱりSHとJSが順当だろうと。
トライアングラーというか円環。SH→HM→JS→SH。
HMにベタ惚れのSH。SHの気持ちに気付きつつもJSに想いを寄せるHM。SHがHMと遊びにいって嬉しそうなのが気に入らず、HMの心を逆手に取って暴走するJS。
上中下のうちの真ん中。上はSH視点でHMとのデートの様子。中がこれで、下はJS視点。
たぶんもうちょっとだけ続く。


***


「スヒョン兄とどこ行ったって?」
 
誰に対してもそうなのは分かってる。
それでも、気にされていると思うと、やっぱり心は弾む。
顔に出ないように注意して、僕は答えた。
 
「別にどこってこともないけど、弘大とかその辺り」
 
スタッフと一緒に出て行ったスヒョン兄が戻るまで、しばらくかかりそうだった。
AJは足を投げ出して椅子に座り、レッドブルの空き缶を弄んでいる。
僕は立って壁に寄りかかり、掌の中のTLを眺めながらAJの様子を伺った。
ちょっと機嫌悪いかな。
 
「楽しかった?」
 
どこか咎めるような響きに、僕は慎重に答える。
 
「楽しかったよ」
 
そう、と返された言葉に明るさはない。
さっきの答えは不正解だったらしい。
 
「次はジェソプも誘うから」
 
努めて軽く口にすれば、AJが僕を見る。
 
「別にいい」
 
そう、と言葉を返したけど、僕は内心がっかりした。
AJが誘いに乗ってくれるなら、弘大に限らず行きたい場所はたくさんあるのに。
メンバーとみんなで。あるいは、二人だけで。
 
AJは缶を机の上に置き、立ち上がり大きく伸びをした。
それから、ゆっくりと僕のいる方へ歩いて来る。
さすがに気付かないふりはできなかった。
 
「何?」
 
会話をするために近付く必要はないはずだった。
周りがうるさいわけではないし、聞かれて困る誰かがいるわけでもない。
この部屋には今、僕とAJしかいないのだから。
実際、さっきまで問題なく話をしていた。
 
質問に答えることもなく、AJは目の前に来てしまう。
その顔に笑みを浮かべて。
AJは僕の頭に両腕を回し、口を耳元に寄せた。
 
「なんでヒョンと出かけんの」
 
表情と異なり、声は不機嫌なままだった。
 
「誰と遊んだっていいだろ」
 
自分でも声が尖った気がして、少しだけ焦る。
それでも、さっき誘ったら断ったくせに、心の中で続けた。
一人でしか出かけちゃいけないのか。
どう切り返そうか考え始めたところで、AJの言葉に、僕は固まった。
 
「好きなのは俺なのに」
 
どういう意味、と聞き返そうとして、けれど声は出なかった。
頭が熱くなって、口を開くこともできない。
AJは僕の手からスマートフォンを取り、上着のポケットへ入れた。