ふと風に当たりたくなって店を出た。
外の冷たい空気に、思わず両手を擦り合わせると、背後で声がした。
『うわ、寒い!』
振り返ると、寒そうに肩を竦めたキソプがいた。
「キソプ、どうしたの」
同じように手を合わせ息を吐きかけ、寒いね、と笑顔を見せている。
『スヒョン兄が出てくの見えたから』
付いてきたというのか。
よりによって馬鹿天使に見咎められるとは。
「上、着てきたらよかったのに」
自分はコートを持って出たが、キソプは室内にいたときのまま。
真冬の夜には薄着過ぎる。
『はは、そうだね』
そう言って笑いながら、手に息を吐く。
その手を取って引き寄せ、そのまま抱きしめた。
すでに冷え始めたキソプの身体が、できるだけコートの中に入るように。
『ヒョン、あったかい』
俺は腕に力を込めながら、火照った頭を夜風が醒ましてくれるように祈った。