「何か用?」
二人だけになったタイミングを待って言ってみた。
『え? 別に何もないけど』
きょとんとした様子で返される。
「ずっと俺のこと見てたでしょ」
振り返るたびに目が合って、視線を逸らそうともしなかった。
『そんなことないよ』
自分で気付いてないのか。
立ち上がり、キソプの隣に移動する。
肩に腕をかけると、微かに震えたのが分かる。
顔を覗き込めば、「精一杯」を隠そうとする瞳が揺れる。
なんだ、自覚してるんだ。
『何?』
「何だと思う?」
訊ねると、答える声が掠れた。
『ジェソプの考えることは分からないよ』
さらに肩を引き寄せ、顔を近付ける。
首を少しだけ傾けると、キソプが目を閉じた。
なんだ、分かってるじゃないか。
では、遠慮なく。