* 『』がJSです。
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冷蔵庫の前に、もう寝たはずの人影があった。
「まだ起きてたの」
開けた扉の前でしゃがみこみ、庫内灯に照らされている。
『起きてたんじゃなくて起きた』
起きた理由はひとつしかない。
「腹でも減った?」
俺がキッチンの明かりを付けると、目をしばたたかせた。
『うん。でも食えるものが何もない』
落胆した様子で答える。
「何もないってことはないだろ」
後ろから覗き込むと、食材と調味料しかなく、すぐ口に入れられるものはなかった。
「本当だ」
だろ、と気落ちした声で返される。
「何か作ろうか?」
何ができるかな、と考えながら言う。
『何かって?』
AJは俺を振り返るように見上げた。
「ラーメンとか、シリアルにミルクをかけたもの、とか」
期待の込められた眼差しに、ニヤリと笑って答えると、AJも笑みを見せた。
『ラーメンがいいな。ちゃんと野菜が乗ってるやつ』
ラーメンに炒め野菜。
まあ、今ある材料的にもそんなところだろう。
「了解。じゃあお湯沸かして」
俺はそう言って、AJの額にキスを落とした。