LOVE IS A MANY SPLENDORED THING ~慕情~ | 美肌ジャズタイム

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『ジャズをもっと身近に』をモットーに、歌とフルートで活動している日本の女性ジャズ歌手若生りえのブログ。ジャズの歌詞について語っています。

電球ここでの解釈は、私、若生りえがあくまでも歌手として歌わせて頂く際の、一つの歌詞の世界であり「こんな気持ちで歌わせて頂いております」という一つの意思表示です。この世界の認識を押し付けたりするものでもありません。あくまでもご参考までに。また文章をお使いになる場合はお手数ですが、ひと言ブログへコメント頂ければ幸いですSAYUうふふ

LOVE IS A MANY SPLENDORED THING
~慕情~1955年
作詞/ポール・フランシス・ウェブスター(Paul Francis Webster)
作曲/サミー・フェイン(Sammy Fain)

【映画「慕情」の超簡単なあらすじ ※結末まで書いてあります!!】

まずは映画の簡単なあらすじから。

ただし、音楽の話をする上で、
結末を書いてしまっています!
ご注意ください!

第2次世界大戦後のイギリス植民地時代の香港を舞台に、ジェニファー・ジョーンズ演じる女医のハン・スーインがヒロイン。

夫は国共内戦で戦死。夫を思いつつ、彼女は医療に専念する。

しかしその後、ウィリアム・ホールデン演じるアメリカ人の従軍記者マーク・エリオットと知り合い、妻子のいる彼と恋に落ちる。

正式に離婚をしたら結婚しようと約束をするが、それは叶わず、しかし、それでも二人の仲は続く・・・。

そんな中、今度は朝鮮戦争がはじまってしまい、彼は戦地へ行くことになる。

離れている間もずっと文通をする二人。しかし、ある日、彼は戦地で爆撃を受け、帰らぬ人となってしまう。

以前、彼との恋に夢中になっているとき、病院の理事長の反対を押し切り、出張先のマカオへ行ってしまったことから病院に勤められなくなっていた彼女だったが、再び、今後は医療に全生涯を捧げようと決心する・・・。

実在のハン・スーインの自叙伝が原作のようで、内容は、少し原作とは違うそうです。

【「LOVE」、「四月のバラ」をどう訳すか?】

Lo~~~~~~~~ve!

 is a many splendored thing~~~~

と、ドラマティックなメロディで始まる、映画『慕情』のテーマ曲。

『Love』は後述しますが、まずは『April rose(四月のバラ)』のお話から。

世界に約120種類もあると言われているバラですから、やはり4月に咲く品種はあるようです。

しかし、ここでいう『四月のバラ』と言うのはもののたとえで、『春』という言葉には、若さ、青春、始まり、といった意味があるのと同じように使われていると解釈しました。

物事の始まりは日本でも『春夏秋冬』という言葉もあるとおり、春から始まることが多いですよね?

土の下でじっと太陽の日差しを待っていた植物の芽がいっせいに伸び、花も咲き、人々の心もウキウキとするのが

この歌はまさに『春』から始まるというところに意味があると思うのです。

そして、次のキーワード『Love』。

英語では『Love』の一言ですんでしまいますが(笑)、日本語の場合は『恋』『愛』『恋愛』など、色々な訳し方ができてしまいます。

歌詞の最初の『Love』は、まるで魔法でもかかったような、『バラが最も美しく輝く、春のほんの一瞬の時期』と重ねて、『恋』をさしているのかもしれませんね!!

でも、花は当然、枯れてしまいます。

そして葉を茂らせ夏を迎え、秋になると落葉し、冬には枝だけになります。

枝だけですが、バラは死んでしまったわけではありません。

次に来る春を迎える準備を、寒さに耐えながら静かにじっと待っています。

一番最後の歌詞『true love』というのは、無事に冬を越したほうの『Love(愛)』ではないでしょうか?

以前、私が西洋ハーブが好きで育てていた頃、『種まき』のチャンスは、春と秋の2回チャンスがあることを知りました。

春と秋。

どちらかの時期でまくと、丈夫で香りの良いハーブが育つのですがみなさん、ご存知ですか???

これ、断然
『秋まき』の方なんです。

若い芽の頃に、いきなり試練の冬を経験するからだそうです。

その寒さにもなんとか耐え抜いた若い芽は、春がくると、一気に青々とした葉を茂らせ、丈夫で香りの強いハーブになるんですね!!

話がそれましたが、愛の象徴ともいわれる『バラ』『Love(恋、愛)』と照らし合わせているようです。

誰でも、ある晴れた春の日に、満開になったバラをみたら一瞬で心を奪われて魅せられるはず。

でも、ずっと春ということはありえません。

いつの時代も、ちゃんと時は流れて、季節も移り変わります。

花が枯れた後、特に秋、冬を越せるか?

再び春は来る!!と信じられるか?

そこにこの歌の中の『真実の愛』の意味を見出せるような気がします。

色々な解釈が出来ると思いますが、2人の愛する男性を戦争で失い、医療に専念しながらも、思い出や愛情を胸にくじけずに生きていく。

そんな彼女の姿に、単なる恋愛の『Love』だけではなく、
止まない雨はない、朝の来ない夜はない、ではありませんが、最後には、生きていくための強さや決意みたいなものをこの歌が代弁しているようにも思えます。

【第28回アカデミー映画音楽賞、歌曲賞を受賞】

映画自体は、アカデミー賞にノミネートされたものの、受賞は逃しました。

しかし、この音楽への評価は高く、劇・喜劇映画音楽賞と歌曲賞を受賞しました。

【香港の百万ドルの夜景を見下ろせる丘】

二人の会う場所のシーンでたびたび出てくる丘。

美しいチャイナドレスに身を包んだジェニファー・ジョーンズに魅了された人々も多かったことでしょう。

実は、私の母もその一人だったようで(笑)その昔、仕事でドレスを縫っていたころがあり、この映画をみて、オレンジの生地でチャイナドレスを縫ったことがあるそうです。

私は小学校の頃にその話を聞き、テレビでやっていたこの映画を観た記憶もあります。

そんなこともあり、内容はあまり覚えていなくても、
このチャイナドレスは印象深かったです。

ちなみにこの丘はどこだろうと思ったのですが、断定できないのですが、『ヴィクトリア・ピーク』というところのようです。

その舞台になった香港。

映像でしか見たことがありませんが、ジェニファー・ジョーンズとウィリアム・ホールデンの印象が深いせいか、アジアと異国の融合美を感じる場所だなぁ~、と思いました。

【さぁ!誰を聴く?】

映画の内容にそうように、ドラマティックに歌い上げる男性歌手の系統が多くみられます。

オリジナルは男性グループのザ・フォー・エイセズ!!

あとは皆さんもおなじみのアンディ・ウィリアムス

ナット・キング・コール!

フランク・シナトラ。などなど・・・。

そうそう!ポール・アンカやカントリーの大御所ケニー・ロジャースまで!

あとは、クラシック界の甘いマスク系というウワサの?
トミ・メッツァケト(Tomi Metsäketo)。
彼のヴァージョンで、ヴァースから聴くことができます。
ヴァースを聴いてみたいと言う方はぜひ!

女性では私の持っているアルバムでサリナ・ジョーンズが聴けました。
しっとりとサリナ節をきかせながら、彼女の世界で歌っています。

演奏では、大人気のピアニストビージー・アデールが。
落ち着いたラテンのリズムで
ストリングスと一緒に
心地よく演奏しています。

あとはクリフォード・ブラウン

最近ではドミトリー・バエブスキー
軽快なアルトサックスもカッコイイです。

とにかく、色々な人が歌って演奏していますので、
みなさんもお気に入りのナンバーを探してみてくださいね!

まずは、アンディ・ウィリアムス


映画サントラ盤オリジナルのザ・フォー・エイセズ


やっぱりこの歌といえばマット・モンローもお忘れなく



《英語歌詞》

(VERSE)

I walked along the streets of Hong Kong town
Up and down, up and down
I met a little girl in Hong Kong town
And I said “Would you tell me, please,
Where’s that love I never found?
Unravel me this riddle, what is love, what can it be? ”
And in her eyes were butterflies as she replied to me

(CHORUS)

Love is a many splendored thing
It’s the April rose that only grows
In the early spring
Love is nature’s way of giving,
A reason to be living
The golden crown that makes a man a king

Once on a high and windy hill 
In the morning mist two lovers kissed
And the world stood still
Then your fingers touched my silent heart
And taught in how to sing
Yes true love’s a many splendored thing


《日本語和訳歌詞》

(ヴァース)
香港の街の通りを一人で歩いた
あちこちを行ったり来たり坂を
上ったり下りたり
その香港で、僕は一人の可愛らしい女の子に出会った
で僕は聞いたんだ
「ちょっと君、もしよかったら教えてくれないかな?
僕がどうしても見つけられない
『恋』や『愛』はどこにあるんだい?
そもそも『恋』や『愛』って???
何が『恋』で、何が『愛』なのか?
その謎を解いて欲しいんだ・・・。」
そう言うと、彼女は蝶の羽のようなつぶらな瞳で
僕を見つめ、答えてくれた・・・

(コーラス)
恋・・・
恋とは、人生を一瞬にして輝かせてくれる
素晴らしいもの
それは四月のほんの一瞬の時期に咲き誇る
『春ざれのバラ』のようなもの
恋をすること・・・
それは、誰もが与えられる輝けるチャンス
生きている証

一人の男をも
まるで一国の王になったかのような
自信を持たせる
『黄金の冠』のようなもの
ある霧の立ち込める朝風の吹く高い丘の上で
二人の恋人たちがキスをすると
一瞬、世界が止まった・・・

そして次の瞬間
恋人の指が私の心の琴線にふれ
愛を謳歌することを教えてくれた
そう!!
真実の愛は一瞬の輝きではなく
永遠に輝き続けるもの