発達障害者と地域共生-大阪地裁判決に関する一考察 | ペーパー社会福祉士のうたかた日記

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社会福祉士資格をとるまでと、とったあと+α。浮世のつれづれ、吹く風まかせの日々。

緊急のアラート付きで、
東京社会福祉士会司法部から送られてきた判決主旨は、
各種報道機関のそれよりも一足早くて、

いつも後手に回るricoricoにしては、
めずらしく、適時な事件を適時に記事にできる。
東京社会福祉士会ご担当御中、ありがとうございます。
これなら会費、惜しくないっす!w

以下、今般の事件、判決の概要。
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姉を刺殺した40歳代の男の裁判員裁判で、
大阪地裁は、懲役16年の求刑を超える
懲役20年の判決を言い渡した。
被告を発達障害の一つのアスペルガー症候群と認定し、
殺人罪の有期刑の上限を適用した。
被告は小学5年の頃から自宅に引きこもり、
それを姉のせいだと思い込んで恨みを募らせた。
(以下略)
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この判決は、
被告人がアスペルガー症候群である、
ということを、認識した上で、というか、
その要因に判断基準をおいて下されており、
ある意味で画期的で、大胆不敵な判決である。

以下、
あくまでも個人的、
かつ極私的偽悪的な解釈での判決主旨要約。
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病気のせいっつうのはわかるけど、
こんな無反省なヤツが社会復帰したら、
気に入らない相手に対して、
また同じことするに決まってんだろ。

こいつは家族も見放してんだ、
社会に受け皿なんか用意されてないし、
再犯してくださいと言ってるようなもの。

つまるところ、
長期間、刑務所にいさせた方が、
本人にとってもいいだろうし、
社会秩序にとって好都合なんだよ。
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ホンモノは漢語まみれで格調高く、
やたら回りくどくは書いてあるけど、
内容はホントにこんな感じ。

すげーな大阪地裁。
こんなこと言って、大丈夫か?

と、思ったら、大丈夫なわけはなく、

日本社会福祉士会、共生社会を創る愛の基金、
日本児童青年精神医学会等、
各種医学会、障害者団体が一斉に猛抗議。
公式に意見表明、会長声明を発表したほか、

大新聞もこぞって社説でとりあげ、
また、大きく紙面を割いた記事にしている。

団体によって、判決要旨のどこに対して、
主な抗議の焦点を絞っているかは違うけど、
概ね次のような点について反論している。

・発達障害者は危険だという認識
・発達障害の養育と責任を家族に要求(義務的認識)
・発達障害に対する社会の受け皿がない
・発達障害者の反省や内省に対する誤解

この反論に対する再検証については、
またちょっと別の場に譲るとして、

この一連の裁判、及び判決で、
ricoricoが最も気になっているトコは、
これ、裁判員裁判なんだよね。

裁判員が論議して、最終的に、
よしこれでいこ、となったわけだから、
これ、世間のスタンダードちゃうの?

とある方のブログより拝借↓↓
「行為の重大性なり行為責任の大きさなりを
唯一の量刑基準とする考え方も可能であって、
一般社会人の素朴な刑法感覚からは
いまなお強い支持を得ているところといってよいであろう。」
(鈴木義男「量刑の基準」法学教室第2期3号36頁)

以前、悪戦苦闘して書いた、
精神障害者の地域復帰と共生に関して、

※手前味噌で申し訳ございません、
下記シリーズものにてご参照くださりませ↓↓※
厚生労働省「新たな地域精神保健医療体制の構築」をとりまくもの 2012-07-02 12:12:19
厚生労働省「新たな地域精神保健医療体制の構築」をとりまくもの2 2012-07-04 07:05:35
厚生労働省「新たな地域精神保健医療体制の構築」をとりまくもの3 2012-07-06 12:05:45
厚生労働省「新たな地域精神保健医療体制の構築」をとりまくもの4 2012-07-08 08:10:16

『こころのバリアフリー』は、
精神障害者の他傷事件がある限り、
政府が推奨するようには進まない、
と書くとこまでで精いっぱいだったわけだけど、

なんとそのことの皮肉な証左として、
精神障害者は危険だから拉致監禁しとけ、って、
イチ公的機関の"判断"とか"見解"じゃなく、
判決が下されるってモノスゴイことだ。

三権分立の原則からいえば、
抑制、均衡し合う行政と司法だけれど、
社会福祉の視点や方向性は、
国家として統一されてしかるべきであって、

こんだけ乖離っつうか、もはや逆方向って、
わが国家の進む方向性はどっちなんだべさ。

当然、控訴するんだろうけど、
この判例があるってことは、この先、
マイノリティはもっとマイノリティになり、

健全、健常、正常、normalなものだけが残り、
それ以外は異端として排除されるか、
拉致監禁してよい、とする価値観が席巻する。

大阪地裁と裁判員は、
コトの重大性を理解しているんだろうか。
この裁判に関わったただの1人として、

え、これ、個人として思ってたり、
感じている分にはまだいいけど、
判決として、外に出していいものなの?

とか、

ちょっともう少し、考え直さない?
みんなの納得、っていう最大公約数に、
当事者の発達障害者も、入れた方がよくない?

とか、

これどっかから反発が来ないかなあ。
社会福祉の人ってホラ、
やたらこーゆーのうるさいじゃない?

とか、
なんでもいいんだよ。
ネガティブでもポジティブでもいいけど、

とにかくこれはいったん踏みとどまるよう、
促すなり、主張するのがいなかったって、
その方がなんか、流れとしてはすごく怖い。

精神障害と地域と裁判員裁判、
こんな幾重にも問題がからんでて、
解決策は省庁の枠なんかとっくに超えている。

来月、これ↓↓行って来るんだけどさ。
「更生保護・福祉連携シンポジウム」
~立ち直りを支える福祉のチカラ~を開催します!!

平成24年9月1日(土)12時45分-17時00分
文京学院大学本郷キャンパス仁愛ホール

法務省主催"社会を明るくする運動"イベント。
更生保護の観点から、この判決、
法務省的にはどうなのよ。どう思ってんのよ。

ここで法務省の誰か、とっつかまえて、
また凸ricorico、聞いてみるかー


***
ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪一番になったよー
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