祐作は独り、エリア4で出口捜索をしていた。
震度7強ほどの揺れは徐々に弱くなってきている。
扉を開ける作業は簡単に見え、案外大変であった。多くあるからである。
行き止まり付近に到着したとき、一つだけ扉が目に見えた。
出口があることを信じ、ドアノブを捻る。
「・・・・・・ん?」
しかし扉は開かなかった。鍵が掛かっていたのである。
祐作の脳裏に何かが浮かぶ、これが出口だと。
祐作は独り誰も居ないエリアを駆け出し、エリア1へと急いで戻る。
その頃、亮はホノカと合流をしていた。
エリア2にあった金色の扉のことを話し、共にエリア2へと向かう。
その途中、祐作とも合流する。
「出口っぽい扉見つけたぞ!」
亮は顔を顰める。
「こっにもそれっぽいのあったけど・・・・」
二人は同時に顔を顰めだし、ホノカが語りだす。
「それじゃあ、最初はエリア2に向かいましょう」
ホノカの言葉に二人は行動をする。
「ちっ、やはり衝撃でおかしくなった・・・・」
今大会の司会者、剣崎俊憲は舌打ちをし、床に座り込む。
この作戦終了も残りわずか、このままじゃ優勝者無しになる可能性もあった。
今大会最強の参加者、麻寺 暫の死は衝撃的であった。
―――このままでは、俺は葬られる。
焦りを見せる俊憲に近づく白服を着込む女性。それにはすぐ気づくことができた。
見覚えがあったからだった。
「貴様・・・・戦火の中どこにおったのだ・・・・・」
女性はニコリと笑みをこぼし、間延びした口調で話し出す。
「私わぁ~もう~あなたのぉ~てめぇの~手下じゃないですぅ~」
「・・・・・・何を言っている千草郁美?」
突然の暴言に理解不能になる。郁美は隠し持っていた銃を取り出す。
これにはさすがの俊憲も驚きを隠せない。
トリガーはなんの前触れも無く2回引かれる。
体力を消耗している俊憲はその銃弾をかわすことができず、右肩と腹部に抉りこむ。
「ぐっ! 何のまねだ!」
「ふふっ、まだぁ~気づかないんですかぁ~? これだから炎陽帝国は雑魚なんですぅ~
これを見ればぁ~てめぇもぉ~分かるんじゃないですかぁ~?」
郁美は徐に着ていた服を脱ぎ捨てる。
そこから見えたのは漆黒のスーツ、そして蛇のマークが付いていた。
俊憲は、驚きの色を隠しきれることができなかった。
「なっ!? 嘘だろ・・・・・・なんでこいつがここに」
「やっと気づいたんですかぁ~? そう、私は蛇の幹部」
テロリスト組織『蛇』、最強にして最悪の軍勢。
炎陽帝国の半分を一夜にして焼け野原にしてしまった脅威の存在である。
「私も演技するの疲れたし、調べることも終わったし、全て終わりにするわ」
「まさか汚れた蛇がいるとはな・・・・・・」
郁美は俊憲の四肢に銃弾を打ち込み、動きを封じる。
そして銃口を額にあてられる。
「じゃあね、雑魚帝国さん♪」
パーン、と響く。
三人は、エリア2の金色の扉の前にいた。
「ここか・・・・・」
ホノカは、今大会最強で危険な女、黒野歩霧から手に入れた鍵を使う。
中で音が聞こえ、開く。
「なんだ・・・・・これ? 金?」
そこにあったのは多量の札束と、一つの鍵であった。
「どれを選ぶかは、もう決まってるよな」
「そうやな」
「うん」
三人の選ぶものは、前から決まっていた。
祐作は鍵を強く握り締め、三人はエリア4へと駆け出す。
全員の心情は、生きて帰れるという気持ちで高まっていた。
思い起こせば血で血を洗う殺戮の戦い、本当に怖かった。
何も知らずこの広い、外も見えない人工的に作られた空間で殺し合いをする・・・・・
それはあまりにも残酷で悲惨な現状であった。多くの人間を自分らは殺してしまった。
それは許されることではないだろう。だが、それはしょうがない事だったのかもしれない。
三人はエリア4の行き止まり付近の扉に近づく。
「これか」
祐作は鍵穴に鍵をゆっくりと差込み、右に回す。
ガチャ、と中でロックが外れる音が聞こえた。
ゆっりと、ドアノブを捻る。
目に見えたのは地上へと繋がると思われる階段であった。
「これで・・・・・脱出できるのか」
三人は少し小走りで、階段を駆け上がっていく。
頂上を見あげると、白い光が見えた。
「もう少しだ!」
祐作はまるで子供のように歓喜に満ち溢れ、段飛ばしをする。
いち早くついた祐作は声を発することができなかった。
「・・・・・・なんだよ、これ」
目に映ったのは戦火の生々しい跡であった。地面には横たわる夥しい死体の数、生臭い血の臭い。
外に出られたのに、嬉しい気持ちにはなれなかった。
亮は横たわる死体の胸元に目を向ける。
「おい、この男炎陽帝国の兵士や!」
「やっぱりここはもしかすると・・・・・」
周囲を見渡すと人の気配すら無く、あるのは枯れ木だけだった。
ここは炎陽帝国東部に位置する場所であった。
「炎陽帝国って・・・・・てか早くこんな所から出ようや」
「あぁ」
三人は何も無い荒野を果てしなく歩き始める。
震度7強ほどの揺れは徐々に弱くなってきている。
扉を開ける作業は簡単に見え、案外大変であった。多くあるからである。
行き止まり付近に到着したとき、一つだけ扉が目に見えた。
出口があることを信じ、ドアノブを捻る。
「・・・・・・ん?」
しかし扉は開かなかった。鍵が掛かっていたのである。
祐作の脳裏に何かが浮かぶ、これが出口だと。
祐作は独り誰も居ないエリアを駆け出し、エリア1へと急いで戻る。
その頃、亮はホノカと合流をしていた。
エリア2にあった金色の扉のことを話し、共にエリア2へと向かう。
その途中、祐作とも合流する。
「出口っぽい扉見つけたぞ!」
亮は顔を顰める。
「こっにもそれっぽいのあったけど・・・・」
二人は同時に顔を顰めだし、ホノカが語りだす。
「それじゃあ、最初はエリア2に向かいましょう」
ホノカの言葉に二人は行動をする。
「ちっ、やはり衝撃でおかしくなった・・・・」
今大会の司会者、剣崎俊憲は舌打ちをし、床に座り込む。
この作戦終了も残りわずか、このままじゃ優勝者無しになる可能性もあった。
今大会最強の参加者、麻寺 暫の死は衝撃的であった。
―――このままでは、俺は葬られる。
焦りを見せる俊憲に近づく白服を着込む女性。それにはすぐ気づくことができた。
見覚えがあったからだった。
「貴様・・・・戦火の中どこにおったのだ・・・・・」
女性はニコリと笑みをこぼし、間延びした口調で話し出す。
「私わぁ~もう~あなたのぉ~てめぇの~手下じゃないですぅ~」
「・・・・・・何を言っている千草郁美?」
突然の暴言に理解不能になる。郁美は隠し持っていた銃を取り出す。
これにはさすがの俊憲も驚きを隠せない。
トリガーはなんの前触れも無く2回引かれる。
体力を消耗している俊憲はその銃弾をかわすことができず、右肩と腹部に抉りこむ。
「ぐっ! 何のまねだ!」
「ふふっ、まだぁ~気づかないんですかぁ~? これだから炎陽帝国は雑魚なんですぅ~
これを見ればぁ~てめぇもぉ~分かるんじゃないですかぁ~?」
郁美は徐に着ていた服を脱ぎ捨てる。
そこから見えたのは漆黒のスーツ、そして蛇のマークが付いていた。
俊憲は、驚きの色を隠しきれることができなかった。
「なっ!? 嘘だろ・・・・・・なんでこいつがここに」
「やっと気づいたんですかぁ~? そう、私は蛇の幹部」
テロリスト組織『蛇』、最強にして最悪の軍勢。
炎陽帝国の半分を一夜にして焼け野原にしてしまった脅威の存在である。
「私も演技するの疲れたし、調べることも終わったし、全て終わりにするわ」
「まさか汚れた蛇がいるとはな・・・・・・」
郁美は俊憲の四肢に銃弾を打ち込み、動きを封じる。
そして銃口を額にあてられる。
「じゃあね、雑魚帝国さん♪」
パーン、と響く。
三人は、エリア2の金色の扉の前にいた。
「ここか・・・・・」
ホノカは、今大会最強で危険な女、黒野歩霧から手に入れた鍵を使う。
中で音が聞こえ、開く。
「なんだ・・・・・これ? 金?」
そこにあったのは多量の札束と、一つの鍵であった。
「どれを選ぶかは、もう決まってるよな」
「そうやな」
「うん」
三人の選ぶものは、前から決まっていた。
祐作は鍵を強く握り締め、三人はエリア4へと駆け出す。
全員の心情は、生きて帰れるという気持ちで高まっていた。
思い起こせば血で血を洗う殺戮の戦い、本当に怖かった。
何も知らずこの広い、外も見えない人工的に作られた空間で殺し合いをする・・・・・
それはあまりにも残酷で悲惨な現状であった。多くの人間を自分らは殺してしまった。
それは許されることではないだろう。だが、それはしょうがない事だったのかもしれない。
三人はエリア4の行き止まり付近の扉に近づく。
「これか」
祐作は鍵穴に鍵をゆっくりと差込み、右に回す。
ガチャ、と中でロックが外れる音が聞こえた。
ゆっりと、ドアノブを捻る。
目に見えたのは地上へと繋がると思われる階段であった。
「これで・・・・・脱出できるのか」
三人は少し小走りで、階段を駆け上がっていく。
頂上を見あげると、白い光が見えた。
「もう少しだ!」
祐作はまるで子供のように歓喜に満ち溢れ、段飛ばしをする。
いち早くついた祐作は声を発することができなかった。
「・・・・・・なんだよ、これ」
目に映ったのは戦火の生々しい跡であった。地面には横たわる夥しい死体の数、生臭い血の臭い。
外に出られたのに、嬉しい気持ちにはなれなかった。
亮は横たわる死体の胸元に目を向ける。
「おい、この男炎陽帝国の兵士や!」
「やっぱりここはもしかすると・・・・・」
周囲を見渡すと人の気配すら無く、あるのは枯れ木だけだった。
ここは炎陽帝国東部に位置する場所であった。
「炎陽帝国って・・・・・てか早くこんな所から出ようや」
「あぁ」
三人は何も無い荒野を果てしなく歩き始める。