Death&death 皆殺し編 Ⅸ 抄

この大会が終了するまで残り二日と迫った
生存者は佑作・亮・ホノカを含めて残り7人となった

最初は全てが幻影のように思えたが、次々と見る死体の山を見る限り、信じるしかない。

一方、森林道では別の参加者たちが戦闘を繰り広げていた
40代の後半を迎えた中年男、古瀬京助
少々大柄な体系の女、東藍。

京助の秀才的な頭脳を用いて東藍を倒そうも、飛道具相手に苦戦してしまう

出した結果は奇跡を信じる

非科学的な事を言うしか、この場を乗り切れなかった。



黒光りする鉄砲弾が大木を貫通することは無かった。

藍は京助を標的にし、対物狙撃銃が火をふく
それに対抗することの出来ない京助は秀才的な頭脳で考えていた。

「(何れ撃っていれば弾切れになる・・・・・その瞬間がチャンスだ!)」

京助は窮地に立たされながらも、集中力を乱さない。

「中年のくせに以外に早いねぇ~あたしも負けてられないなー♪」

そうぼやきながらも京助目掛けて鉄砲弾を放つ。
その鉄砲弾が京助の右足に命中した。

「ぐっ!」

痛々しい声をあげながら、土を削りながら身体が木に当たった。

「ビンゴ~☆」

作戦が失敗した
京助は次の作戦を考えようにも、足の痛さで滅多に切らさない集中力が切れてしまった。

「さぁ~て、お遊びも終りですよ
 京助さんの額に風穴開けて上げるよ~」

終わった、全てが終わった。
初めて味わう弱者の心、悔しさと絶望
今はこんなことを言いたくはない、奇跡と言う言葉。

対物狙撃銃の銃口が京助の額に当てられた
トリガーを引こうとした、そのときであった

カシッ カシッ

弾切れになっていたのだった
京助はその一瞬の隙を突き、斧を藍目掛けて振った。

「・・・・・・・・!?」

斧は藍の両目の瞳に横線を入れた。
流れ出る流血、無論、叫ばざる終えない。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
 痛いよぉ! 痛いよぉぉ!! うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! 何も見えないよぉぉぉぉぉぉ!!」

電車の轟音の如く、藍は激痛のあまり弾の入っていない対物狙撃銃を適当に振り回した。

「ぶっっつ殺してやるっ! どこだ! どこにいる!? うわぁぁぁぁぁ!!!」

もはや、獣と言っても過言ではない。
京助は右足を引きずりながら、森林道を後にした。
 


エリア3通常道。
佑作たちは、安全な場所へと避難していた。

体力も完全に回復したわけではなく、疲労が溜まっている
下手をすればこの状態で他の参加者にでも遭遇したら、死ぬであろう。

向かっているのは佑作が目覚めたときに居た空白の空間だった
あそこなら簡単に気付かれる事は無いと判断したのだった。

「確か機械的な扉だったよな・・・・・・だとして開いてるかどうか」

「考えるより行動した方がええよなぁ~てかなんで佑だけ部屋だったんや?
 俺は森林道に居たんやけど・・・・・・これって差別やのかなぁ?」

「私は佑作さんと同じ通常道に居ましたよ」

差別や何かではないのかは定かではないが、それは単なる偶然であったと言うこともありえる。


見えてきたのは鉄の扉だった。
佑作が扉を開けようとしたが、ビクともしなかった。

「やっぱり鍵が掛かったわ・・・・・」

「無駄足・・・・・・かいな~
 あー! 俺もう歩けへんわー!」

と、亮は言いそのまま地べたに座り込んだ。

「どうしょう佑作さん・・・・・・これじゃぁ安心な場所なんて」

「むぅ・・・・・」

佑作達が考えている中、奥のほうから音が聞こえた
ホノカがその音にびくっ! と反応する。

「・・・・・・おぃ、ヤバイんじゃねぇか・・・・・」

「どうするんや・・・・・」

今参加者に遭遇でもすれば殺される可能性は高い
そんな中あまり傷が無いホノカが前にでる。

「今度は、私が二人を守る番・・・・・・二人は休んでいてください」

「ホノカ・・・・・」

ホノカの手には手榴弾が強く握られていた
じょじょに近づく音、緊張感が漂う。


ホノカの目に映ったのは京助の姿だった。

「古瀬・・・・・先生?」

「なっ・・・・・・水白! お前ここで何してるんだっ!」

佑作と亮は状況を飲み込めなかった。



森林道、藍はまだ京助を捜していた
目の前は闇の世界が広がり、何も見えない。

「どこだ・・・・・どこだ! 古瀬京助っ!! 出てこいやぁぁぁぁ! ぶっつ殺してやるよぉぉぉ!!」

すると藍の後ろから足音が聞こえた
藍はすかさず後ろを向き銃口を向ける。

「見つけたぞ! 古瀬京助っ! てめぇだけは絶対に許さない! 死ねぇぇぇぇぇぇ!!!」

何発も、何発も鉄砲弾を放った
藍は狂ったかのように連射する、高々と笑いながら。

「ひっはははははははは!!!!!
 抵抗も出来ないかっ! 無様だなぁ!」

藍は京助の死体を対物狙撃銃を下に振りながら捜した。
しかし、見つからなかった。

その僅か数秒、後ろに今までに感じたことの無い殺気が漂った。
女のようにリンスのいい香りがした。

「誰だ・・・・・・お前誰だぁ!」

「・・・・・・さっきから五月蝿いんだよメス豚」

青年のような声、それは正しく麻寺暫だった。
暫は藍の髪を鷲掴みにし、穴が開いた大木の所まで荒々しく運んだ。

「いやぁぁぁぁぁぁ! 痛い! 痛い!」

何も見えない恐怖が藍を襲った
一体自分は何をされるのか? 震えが止まらなかった。

「・・・・・・・・・・・・・・」

暫は無言のまま、藍をうつ伏せにさせナイフを首に当てた。

「やめてぇ! 欲しい物のなら何でも上げるから! 助けてぇぇぇ!!!」


そして、ナイフは引かれた。
藍が最後に目にしたのは自分の胴体と、暫の微笑だけだった。