Death&death 皆殺し編 Ⅷ 抄

謎に満ちた第10のエリア、人形道
5人目の死人、桐生和久
彼の亡き事、10のエリアが開かれる。

先へ先へと進み到着した10への扉
その扉を開くとそこは人形だらけの部屋
場で語る佑作たちの安らかな時間
それを掻き消すかのように現れる脅威の参加者、黒野歩霧
亮の畏怖する人物の現れにより、場の空気は一気に殺気に漂う
佑作と亮は支持武器を手に持ち、黒野歩霧に戦いを挑んだのだった。

歩霧との激戦の末、見事勝利し、人形部屋を後にするのだった・・・・・。






残り期間二日。現在時刻、七時十分。

この大会も残り二日となってしまった。
現時点で生存している参加者は、佑作・亮・ホノカを含めて残り7人。
最初の頃は全て夢のようだった。しかし今までの殺し合いで夢ではなく現実と確信した。
(なんの為だ? なんで俺がこんな大会に出場したんだ?)
それは分からない、あの放送の女が最初に言った言葉。

「いきなりこんなところに来てもらい済みませんねぇ~
 でも皆さんは幸運の持ち主ですよ!! この大会に参加出来たんだから!」

この大会に参加できた・・・・・?
この大会はランダムで選ばれたのであろうか?
しかしそれはあくまで佑作の推測であって、真実かどうかは定かではない。

そんな事を思いながら、佑作は乾パンを食べていた。

「あと二日かいな・・・・
 ホンマにヤバイでぇ・・・・・」

徐に亮が言葉を放った。
その言葉に反応したのはホノカが先であった。
ホノカは手に持っている乾パンを一口でパクリと食べた。そして言った。

「・・・・・・・どうしてそんなことを?」

ホノカ・・・・いや佑作もその意味が少し理解できなかった。
佑作は、今までの経路を脳裏に浮かべ、ふと気付いた。

そしてその脳裏に浮かんだ文字を、言葉として発した。

「・・・・・麻寺暫」

するとピクッと、亮が反応を示した。

今大会最年少で最強の参加者である麻寺暫。彼を2日で倒すのは容易な事ではない。
無惨に殺されるなら時間切れまで身を隠すのも先決だが、彼らの辞書には《生き延びる》という単語が皓皓と輝いている。
この大会で生き延び、全員で酒を飲むと約束したのだ。死ぬわけにはいかない。

「死ぬかどうかはわからねぇーけど、ぜってぇー最期まで悪足掻きしてやろうじゃねーか!」

「そうやな・・・・・俺らもこんな戦場で死にとうないからなぁ!」

「・・・・・・・・うん!」

三人の心が一つになった瞬間であった。



草木が茂る道、森林道。40代の後半を迎えた中年男、古瀬京助が歩いていた。
放送で聞いたとおり、生き残りは自分を含めて7名となった。
罠で死ぬものもいる、他の参加者に殺されるものもいる。自分はどちらか? そう軽く考えていた。
小さな音、草木の靡く音でさえ警戒しなければならない。小枝を足で踏んでも駄目だ。生き残るには敏感に警戒しなければならない。

すると、突如として人の足音が聞こえてきた。京助は即座に戦闘隊形に入る。
自分の2倍はある大樹に身を潜め、息を殺す。

徐々に足音が近づいてくる。恐らく約6歩ほどでこちらにくるであろう、と推理した。
もし仮に今近づいてくる参加者が強ければ持久戦に持っていかれ、恐らく殺される可能性は高くなる。
そしてもしこの参加者が弱ければ武器と食料を多く手に入れることが出来る。

そんな事を3秒間で脳内で考えていた。能ある鷹は、爪を隠すとはまさにこのことだった。

「(4、5、6、いまだっ!)」

颯爽と相手の前に現れ、斧を振り上げる。しかし目の前には誰もいなかった。
戸惑いを隠せなかった、辺りを見渡すが誰一人としていない。
さっきの足音は幻聴ではない、間違いなく聞こえた。

根気よく辺りを見渡している中、自分の身を隠していた大樹の上から葉っぱが数枚落ちてきた。
京助はその僅かな瞬間、気付いた。さっきの足音の正体、それは大樹の上にいた。

大樹から鉄砲弾が京助に向かい飛んできた。
京助は近くの茂みに転がり、再び戦闘隊形に入った。

「なーんだ一発でしとめようとしたのになぁー あーぁ中年のくせにさー!」

大声で京助に罵声を浴びさせた。
しかしそれを聞いていないかのように無反応をする。

すっと降りてきたのは、少々大柄な体系の女だった。

「始めまして東藍といいます」

「・・・・・・古瀬京助・・・・・だ」

「京助か・・・・・自己紹介も終わったことだ 早速遊ぶか」

京助の頭にはクエスチョンマークが浮かんだ。
意味がまったく伝わらなかったからだった。

「命がけのサバイバルゲ~ム 開始♪」

対物狙撃銃を京助に狙いを定め、短距離で発砲した。
そしてその弾丸も簡単に回避した。

「まったく・・・・すぐ逝かせてやろうと思ってるのにさぁ~
 人の恩は買うもんだろう」

「俺は恩なんざ買わなないようにしてるんだよ 特に女にはなっ!」

「まったく・・・・・暗い青春時代を過ごしてきたんだろなぁ~!」

「うるせぇっ!!」


鉄砲弾が顔を掠った。飛道具と斧では差がありすぎていた。
もし、斧を藍に投げつけ失敗をしたら恐らくもう生存率はない。成功か失敗の可能性は五分五分である。

奇跡が起こるか、今は非科学的な事を言うだけであった。