気付くとそこはなにもない空白の空間だった。


周りを見渡すとリュックと、包丁が置いてあった。
なにも分からない。なにが起こったのか?
ただ時間だけが過ぎていく。


キーンコーンカーンコーン~キーンコーンカーンコーン~
天井に設置されたスピーカーから学校のチャイムが鳴った。

「あーあーあ、聞こえてますかー? あーあー」

放送から女の人声が流れた。

「いきなりこんなところに来てもらい済みませんねぇ~
 でも皆さんは幸運の持ち主ですよ!! この大会に参加出来たんだから!」

「大会・・・・・・?」

行き成り訳の分からない言葉が流れた。
今年で23になった男、久坂 佑作(くさか ゆうさく)は把握できない。

「訳の分からない方もいらっしゃるので説明しますね」

とスピーカーから聞こえた。

「この大会は簡単に言うと殺し合いですね~」

「殺し合い・・・・だと?」

「大会で大金を得るか、命を護るか・・・・
 それは皆さん自信で決めてくださいねぇー!」

つまりこの大会は大金を得るか、命を護るかの殺し合いだ。
人間は金に対する欲望が高い動物だ。
恐らく佑作以外の人間も金を得る為、殺しあうであろう。

「次は大会のルールでーす!」

1 この巨大施設にはエリア1から10まである。
  エリア10は5人以上死んでないといけない。

2 各自の部屋にある武器が自分の武器となる。
  この武器の中にははずれや当たりがある。
  尚、他の相手から奪ってもよい。

3 大会期間は1ヶ月。
  それを過ぎても決着がつかない場合、全てのエリアに猛毒を噴射する。

4 一週間ごとにスペシャルゲストを投入する。
  3日ごとに罠を設置する。

5 リュックの中には食料は2週間分しかない。
  何処かのエリアに大量の食料がある。

6 大金を手に入れるには、鍵を手に入れなければならない。
  大金を得ても、全員殺さないと大会は終了しない。
  
7 参加者は15人。
  老若男女関わらず参加している。

8 15人の中で誰かが死亡した場合、その情報を放送する。

9 大金を得ずに自分の命を護りたい場合は、全員殺すことになる。

10 エリア4にある赤い扉には近づいてはならない。

「以上でーす! ちゃんと聞いてたカナ~?」

まるでゲームの世界に入れられたみたいだった。
佑作は人を殺めたことはない。大会を終わらすには全員殺さないといけないのだ。

「次はエリア説明をするよー」

エリア1~4 通常道
エリア5~6 森林道
エリア7~8 闇黒道
エリア9   子供道
エリア10  不明(5人以上死亡時に知らされる)

「大体の説明が終わったので、次は参加者の方の名前を読み上げまーす」

1  安堂利恵 (あんどうりえ)    女 20歳
2  咲森慶  (さきもりけい)     女 18歳
3  久坂佑作 (くさかゆうさく)    男 23歳
4  桐生和久 (きりゅうかずひさ)  男 35歳
5  須々木星斗(すずきせいと)    男 69歳
6  安堂和哉 (あんどうかずや)   男 23歳
7  熊井桜  (くまいさくら)      女 24歳
8  麻生亮  (あそうりょう)      男 23歳
9  黒野歩霧(くろのあゆむ)     女 20歳
10 東藍  (あずまあい)       女 21歳
11 九重信吾(ここのえしんご)    男 19歳
12 古瀬京助(ふるせきょうすけ)   男 46歳
13 水白ホノカ(みずしろほのか)   女 20歳
14 麻寺 暫 (あさでらざん)     男 17歳
15 伊藤尋坂 (いとうひろさか)    男 33歳

「以上15名の参加者でーす」

15人の参加者が強制的に参加されてしまったらしい。
10代の若者もこの殺し合いに参加している。恐ろしいものだ。

「では今から大会を開催しまーす! 準備は宜しくて?
 各自リュックと武器を持ってください!」

どうやら大会が始まるようだった。
佑作は食料の入っているリュックと武器の包丁を持った。
ガチャッと鍵が外れる音がした。

「ではスタート!」

佑作は右側にある鉄の扉を開けた。
扉を開けるとそこは放送通り普通道であった。窓などは一切なかった。
佑作は自分の居た部屋から離れ、歩き出した。


いつまで経っても周りにはなにもない。
沈黙が漂う空間、それが一層恐怖を増す。
それを掻き消したのが悲鳴であった。

「なんだ・・・・?」

こっちに誰かが近づいてきている。
そう思った佑作は咄嗟に見つけた僅かな隙間に隠れた。

トットットッ
その足音は徐々に佑作に近づいてきてる。
佑作の脳内に浮かんだ文字は死。
神頼みで見つからないでくれと祈った。

トットット・・・

その足音は佑作に気付かず、そのまま去っていった。
佑作はホッと安心し、足音が聞こえなくなったのを見計らって隙間から出た。
あの悲鳴が聞こえた方へと佑作は進んだ。

少し行くと、なにやら人が倒れていた。

「おいっ! 大丈夫・・・・」

それは既に息絶えた男の姿であった。
頸動脈がナイフなどで切られ、死亡している。
始めてみる生の死体を見て佑作は気持ち悪くなった。

「ウッ!」

佑作は左手で口を押さえ、蹲んだ。

こんな殺し合いが一ヶ月も続く・・・・。
普通の人間なら精神が異状になってしまう。
この先どうなるのであろうか・・・・・。生き残れるだろうか。