ロンド・ベル隊の航海日誌
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AB(オーラ・バトラー)が提示したリアル(現実)とファンタジー(幻想)の融合②

*{機械というものが人の心を揺さぶるものなのかも知れない。

バイストン・ウェルにオーラ・マシンによる喧騒が拡大していった時、世界がそれを排除しようと働くのもまた理(ことわり)である。


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バイストン・ウェルは、我々の世界からは決して覗くことのできないパラレル・ワールドなのだろうか・・・。

しかし、ミ・フェラリオの語るこの記事によって、その記憶が呼び醒まされようとしている・・・。}*


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TDLのオープンに次ぎ、この年は任天堂から発売された“ファミリーコンピューター"が世に浸透し始め、世は空前の“ファミコンブーム"・・・。
発売当初こそ、「ドンキーコング」や「麻雀」等、それまでアーケードゲームで人気を博していたソフトを家庭用ゲームとして移植する程度でしたが、ブームの加熱に伴い、1986年に「ゼルダの伝説」、1988年には「ファイナルファンタジー」といった、ファンタジー物を題材にしたソフトが発売され、TDLの影響等で世に浸透しつつあった“ファンタジー"という概念を更に後押しする形となったのです。

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一般に最もよく知られているファンタジーの世界観と言えば、中世ヨーロッパ風の情景を再現したものが多く、その中に妖精や魔女、現実世界には存在しない動植物が共存しているというのが一般的ですが、中でも“妖精"の存在は、ファンタジー世界に於いて代表的なキャラクターの1つと言えるでしょう。

本作に登場する“チャム・ファウ"は、まさに本作の象徴的なキャラクターでした。
現在(いま)でいう『萌え』という隠語こそ存在しない時代でしたが、後にフィギュアとして発売されるなど、萌え系キャラの先駈け的存在と言えるかも知れません。


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妖精は多くの場合、掌サイズの小人で、背中に蝶のような羽を持ち、大抵は女性の姿で描かれていますが、これは主に西洋神話等に見られる特徴です。
ディズニーキャラクターでも“ティンカー・ベル"はその最たる例と言えましょう。


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また、本作に登場するオーラ・バトラーのほとんどは、妖精と同様、背部に昆虫を想わせる透過型の羽を装備していますが、これはほぼ純粋に“翼"として定義されているらしく、外見上の特徴になっています。

本作の放映当時に発売されたプラモデルシリーズに於いて、この特徴を再現するため、羽に相当する部位にはクリアパーツが使用されており、その表面には、当時『MSV』シリーズにも試された“シボ加工(梨地処理)"が施され、見た目にも“羽"としての表現が再現された他、このシボ加工は他の部位にも部分的に採り入れられ、オーラ・バトラー特有の「異世界の巨大生物の外殻を装甲材として使用している」という設定を忠実に再現していました。


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ただし、オーラ・バトラーは、それまでの“直線的なライン"を主体としてきたロボット系作品とは一線を画す“曲線"を多用したデザインで構成されており、それ故、玩具やプラモデルでの立体化に際しては、その複雑な曲面構成ゆえに再現が非常に難しく、現在の技術水準を持ってしても極めて難易度の高い分野と言えます。

ましてや、当時の造形技術では尚更のことで、実際、放映当時に第1弾キットとして発売された ダンバインは、多くのユーザーから「似てない」との苦情が相次いだため、金型に手直しを加えてリニューアルされた経緯があり、むしろ逆を言えば、当時の技術で、あれだけ再現されていたこと自体が称賛に値するくらいです。


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また、オーラ・バトラーは設定上、7~8メット(メートル)と比較的小柄な体躯であるため、スケールも従来のガンプラのような、1/100や1/144スケールではなく、戦闘機や戦車等、スケールモデルと同様に1/48と1/72という、この当時のキャラクターモデルとしては珍しい縮尺でキット化されています。

TDLとファミコン。
この2つの影響がなかったら、本作はおそらく、現在でも見向きもされない作品になっていたでしょう。

リアル系ロボット作品でありながら、ファンタジーという革新的な要素を採り入れた本作は、たしかに時期的にも“早すぎた"作品だったのかも知れません。
しかし、その斬新な試みは、ロボット系作品の“新たな可能性"を提示したことは違えようのない事実です。


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AB(オーラ・バトラー)が提示したリアル(現実)とファンタジー(幻想)の融合

*{バイストン・ウェルの物語を憶えている者は幸せである。

・・・心豊かであろうから・・・。

私たちは、その記憶を印されてこの地上に生まれてきたにも関わらず、思い出すことのできない性を持たされたから・・・。

それ故に、ミ・フェラリオの語る次の物語を伝えよう・・・}*


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“バイストン・ウェル"・・・そこは陸と海の狭間の異世界・・・。

総ての人々の魂はここから地上に生まれ出て、死して後ここに還る・・・。

だから、この世界は人の魂の安息の地、または心の修練の場所とも呼ばれるけれど、ほとんどの人は、自分の魂がバイストン・ウェルで過ごした日々を憶えていない・・・。


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1983年(昭和58年)、1/100 ウォーカー・ギャリアの発売中止以来、全国のユーザーの怒りと失望が未だ冷めやらぬ状況下でスタートした
『聖戦士ダンバイン』。
“ファンタジー(幻想)"という、これまでに全くなかった斬新な要素を採り入れたこの作品は、当時のリアル系ロボット作品としては、まさに異色と言える作品でした。

劇中に登場するメカはA・B(オーラ・バトラー)と呼称され、そのデザインも、これまでの兵器然としたロボット系作品と違い、内部構造に生物の生体器官が存在していたり、また、外見上も恐獣の角や牙、骨や皮革などを加工したものを構造として採り入れるなど、かなり独特なコンセプトでデザインされており、この生物と機械を融合させたような有機的なデザイン構成は、現在に於いても極めて稀です。


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無論、これまでも動物型メカや昆虫型メカの存在はあったものの、これらはあくまでも工業製品として、その形状的特性を模しただけのものであって、単に人間が乗る車や戦車、戦闘機を動物型や昆虫型に置き換えたに過ぎないものでした。

また、劇中設定として、単位の存在が挙げられます。
例えば、我々の世界で“高さ"や“長さ"を表す単位は“メートル"を使用しますが、本作に於けるバイストン・ウェルの世界では“メット"という単位が設定されています。

他にも“重量"を表す単位として“ルフトン"。

“速度"を表す単位は“リル"(リーンと表記された資料もあり)というように、作品世界に於ける独自の単位が設定されているのも本作の特色と言えます。

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しかしながら、本作の視聴率は、お世辞にも決して好調とは言えませんでした。

なぜなら、本作の放映当時は、“ファンタジー"という概念自体がまだ一般には浸透しておらず、折しも当時は、WM(ウォーカー・マシン)シリーズに次ぐ『MSV(モビル・スーツ・バリエーション)』シリーズの台頭によってガンプラブームに拍車がかかり、更には同時期に放映が開始された『装甲騎兵ボトムズ』の影響から、よりミリタリーテイストの強いデザインが支持を集め、ユーザーの“リアル"への関心が益々先鋭化する傾向にあったからです。

そのため、当時としては、ほとんど馴染みのない“ファンタジー"という革新的な試みを採り入れた本作は、視聴者にはなかなか受け入れてもらえず、物語終盤には舞台をバイストン・ウェルから現実の世界へと路線変更を余儀なくされたといいます。


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ちなみに、本作が放映された1983年は、みなさんお馴染み《東京ディズニーランド》(以下TDL)のオープンに沸いた年です。
TDLのオープンに伴い、ミッキーマウスをはじめとする主要キャラクターは、子どもたちを中心に絶大な人気を博し、更にエレクトリカルパレード等に代表される電飾を多用したアトラクションの幻想的な演出は、たちまち多くの来場者を魅了しました。


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加えて、ディズニー映画を筆頭に、ファンタジーという概念は、徐々に一般に広く浸透していったのです。
あの『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』を執筆した福井晴敏氏も、本作の印象を“ディズニーランド"と形容していることからも判るとおり、日本に於けるファンタジー物の普及は、ディズニーの影響が大きく関係していると言えます。


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本作もリアル系ロボット作品のカテゴリーに属する以上、高性能な“高級機"や一般兵が搭乗する“標準機"といった棲み分けが存在し、前年の『戦闘メカ ザブングル』で実施された、高性能変形メカの登場による“主役交代劇"も踏襲されています。
そもそもデザイン面、設定面共に、現実的な解釈を身上とするリアル系ロボット作品に於いて、ファンタジーという非現実的な要素を採り入れた本作は、ある意味“矛盾"しているとも言えますが、リアル系ロボット作品の新たな“可能性"を提示したことは間違いないでしょう。

更に同年、ゲームの分野に於いても革新的な変動があったのです。


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銀河漂流バイファム②

ロボット系作品に於いて“空を飛ぶ"という演出は、特に子どもたちにとっては非常に印象に残りやすく、そのキャラクターロボットのカッコ良さを引き立たせるためにも欠かせない“見せ場"の1つです。

本作も劇中中盤に於いて、“スリング・パニアー"と呼ばれるフライトユニットが登場しますが、本作で私が最も関心を惹いたのは、飛行シーンでの“飛行スタイル"です。


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それまでのロボット系作品に於ける飛行シーンは、多くの場合、両腕を前に機体をうつ伏せ状態にした“水平飛行"が一般的でした。
おまけに、その飛行原理には何の物理的根拠もなく、見た目にもかなり無理のあったシーンでした。

それに対し、本作で描かれた飛行シーンの描写は、機体は直立に、垂直または斜め方向に離陸し、巡航時にスリング・パニアーを90゚前方に展開、その直立姿勢の状態で飛行するという、それまでのロボット系作品には全くなかった斬新なもので、航空力学的見地からも非常に“説得力"に富んだ設定と言えます。


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本作は、当時の主流となっていた“高性能変型メカ"の登場による主役交代劇には無縁でしたが、前述のこの斬新な飛行スタイルは、当時の視聴者に絶大なインパクトを以て受け入れられ、以後そのコンセプトは、『機甲戦記ドラグナー』を経て、『機動戦士ガンダムSEED』や『機動戦士ガンダムS Destiny』にも受け継がれています。


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また、番組放映時に発売されたプラモデルにも革新的な試みが採り入れられています。

それは、当時はあまり一般的ではなかった“ポリキャップ"を全シリーズに導入したことが挙げられます。
このポリキャップの導入は、当時のプラモデルとしては非常に画期的でした。


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組立工程こそ従来の“挟み込み"が主体のモナカ形式でしたが、ポリキャップの導入による各関節部分は、アクションポーズの際の安定性が非常に高く、そのうえ、あのプラスチック同士の擦れる嫌な音が軽減されたばかりか、それまでのプラモデルではまず不可能だった“各ブロック毎に組んでから塗装してハメ込む"
という、いわゆる

{ブロックビルドアップ方式}の確立にも繋がりました。


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おかげで各ブロック毎に丹念に作り込むことができ、このシリーズによってポリキャップの優用性が一般に広く認知されることとなりました。

そして1984年(昭和59年)、『MSV』シリーズ最後のキット化となったパーフェクト・ガンダムに於いて、1/144と1/100共に、このスケールで初めてガンプラにも採用され、更に翌年(1985年)に放映された『機動戦士 Zガンダム』では一部を除き、ほぼ全てのキットに採用されました。


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このようなことから、以後のキャラクターモデルのアクション性を再現する上で、ポリキャップの存在は必要不可欠なものとして認識されていったのです。
実際、私も当時はガンプラよりもバイファムの方を好んで作ってました。
デザインの構成上、ガンプラ以上に可動範囲が広く、ポリキャップの採用による組立易さに魅力を感じていたからでしょう。


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たしかに本作は、現在(いま)のスパロボ世代の人たちからすれば、☆§これが主役機?#★・・・と失笑するほど非常に“もっさり"とした印象を受けるかも知れません。

しかし、現在(いま)ではすっかり当たり前になっている概念の源流は、本作抜きには語れません。
私個人としても思い入れの深い作品だけに、未だR3(リアル・ロボット・レボリューション)シリーズでラインナップされていないのが不思議なぐらいです。

いつの日か、バイファムのキットが再びリニューアルされて、我々の前に姿を見せる時を夢見つつ・・・その日まで・・・・・。


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