REX5期 大阪の 谷井隆夫です。 2010年の橋下前知事に同行した韓国視察の記事を引き続き掲載します。

 ソウル 設備の充実した中谷小学校にて 意見交換する橋下前知事
 
この韓国訪問の際、私個人の楽しみとして、旧友である韓国外務省の金庚壽 経済局長(現在 韓国の中国公使)に会うということがありました。REX関連のみなさんは覚えておられるかもしれません。岸和田高校で日韓バーチャル国際会議というイベントをしたときに、韓国事情についての生徒指導者として参加していただいた韓国の外交官の方です。私はこの視察で見たもの感じたもの疑問に思ったことについて、現地で金さんに会ってその場で解説してもらおうと思っていたのです。
 以下 金さんの解説です。

 
旧友である 韓国外務省  金庚壽 経済局長(当時) 現在は韓国の中国公使
 
 韓国の教育改革は、韓国の社会状況の進行と大変関係の深い事項です。全てがうまくいっているとは思いませんが、社会状況に合わせた人材育成を目指していることは確かです。

最近の経済の例をあげます。2008年のリーマンショックの際、日本は円高に韓国はウォン安になりました。簡単に言うと「世界経済は日本経済を信頼し、韓国経済を信頼しなかった」ということです。世界の投資家は円を買い、ウォンを売ったのです。ところがその後の数年間で、韓国経済は足腰の強いものとなってよみがえりました。このウォン安が輸出を後押ししたことが要因の一つです。また、韓国企業は日本企業と異なり、経営陣の決断で小回りよく動き回ることができることも大きな要因です。例えばサムスンはIT分野に技術投資を集中させました。また、現代自動車は、かつては軽自動車しかつくらなかったものが、全ての車種の国内外での生産に踏み切りました。さらに政治も行政も後押しします。韓国外交部は、先日ユーロとのFTA交渉(自由貿易交渉)に仮署名しました。現在私は日本との原子力協定の締結準備を進めています。そしてこのような各界の動きの基盤になるのが教育分野における人材育成です。この迅速な立て直しに、1980年代以降の教育界が育てた、対応能力のある若い人材が、産業界、政界、行政、各分野で活躍しています。判断力や創造力や交渉能力のある人材です。技術ひとつをとっても、私は韓国の工業技術は日本に8割方追いついたと感じています。


 
教育現場視察で感じたことを金さんに話し 解説をしてもらいました

 この間、教育界は、加熱した受験状況の緩和と、親の収入や地域による教育格差の解消という課題を抱えながらも、国家の繁栄という目標に向けて対応を進めて来ました。これには、経済状況だけでなく、軍事や政治状況も関係しています。1980年代、1990年代の教育改革を調べられたらいいと思います。 
 
 この韓国視察で私が感じたことの一つは、教育現場も社会の変化に対応して常に変革していかなければならない時代になっているということです。欧米を模倣し追いかけていればいい時代はすでに過ぎ、アジア各国がそれぞれの状況に合わせて人材育成をしなければならなくなっているからです。政治主導でその変革を進めてきたのが橋下府政であったわけです。学校現場の多くがそのことに気がつき、現場の意見を反映させようとしているのが2013年の現状と言えるのかもしれません。政治が単なる学校攻撃に進まぬように、学校現場が保守的にならぬように、バランス良く変化が進行して欲しいものと私は感じています。