ターン/北村 薫 | いまさら読書感想文

ターン/北村 薫



北村 薫
ターン (新潮文庫)

☆☆☆☆★

いやぁぁぁ、怖い。

独りが嫌いなわけじゃないけど、
むしろ普段は独りを好むけど、それは他に人がいるから。
求めれば一人じゃなくなれるから。

自分以外に人が存在しないと思われる世界で
“同じ”一日をずっとくりかえしていくなんて。
なんて恐ろしいんだろう。
悲観して死を選んでも、
次の日には何もなかったように、また同じ状態で目覚めるとしたら。
まさしく、無間地獄。

誰一人として人間が居ない、虫の鳴かない、静まりかえった
無人の世界が目に浮かぶようで、どきどきした。
荒野ならまだしも、人間の営みの痕跡(食べかけの皿とか)
がそっくりそのまま残っている分、よけいに怖い。

ところで、
何がきっかけでこうなったのか、とか
いま主人公は客観的にはどういう状態にあるか、
は簡単に予測がついた。
あと、彼との関連も。そこらへんはちょっとしたメルヘン。
てなわけで今回は、著者は女性だと思いこんでた。

が、男性だったんっすね。
恩田陸に続いて2連敗!
もーちょっと、いろんな作家に感心持つようにしよう、と反省。