もの食う人びと/辺見庸 | いまさら読書感想文

もの食う人びと/辺見庸

辺見 庸
もの食う人びと (角川文庫)
☆☆★★★

帯の言葉
「人びとはいま、なにを食べ、考えているか。
熟達の記者・芥川賞作家の著者が、
世界の飢餓線上を彷徨い、ともに食らい、語らい、
鮮やかに紡いだ、驚愕と感動のドラマ。」

アレ?アレ?
それがホントなら、読み進むにつれて酷くなるこのイライラ感は何だ?。

冒頭の、「残飯を食らう」にはどきっとしたものの、
「世界の飢餓線上を彷徨い、ともに食らい、語らい、鮮やかに紡いだ」
はずの、著者の文章には、対象につっこんでいく気が感じられない。
いつもどこか腰がひけていて、土曜日のニュース特集とかでやってるような、
対象の上っ面をペロンと撫でたような内容。

「こーんな辺鄙な、もしくは危険なとこへ行って、
こんなん食べてきましたよ~。」
コレ自体が一番趣味の悪いグルメ番組のようだ。
彼は異邦人で、客、でしかない。

人は食べずに生きて行く事はできない。
だからといって、食を通せば何かが見えるだろうか?

同じ釜のメシを食ったものが判り合えるのは、
同じ苦労をともにわかちあうからだ。
小学校の給食参観じゃあるまいし、
1食くっただけでなにがわかるってんだぃ。って思っちゃう。

ずいぶんうがった見方だとは自分でも思うんだけど、
そう読んじゃったものは仕方ないのだ。