七夕なので、急遽作成www



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七夕。
年に一度、織姫と彦星が出逢う、大切な一日。



素敵なお伽噺だけど、そんなの悲しすぎる。
好きな人となら、きっと毎日だって会いたいし、声も聞きたい。
たとえ会えないとしても、せめて姿が見れる場所に居たい。

私だったら…と考えたその時に、なぜか敦賀さんの姿が浮かび上がって、慌てて頭の中の姿を消した。


「な…!何を考えているの、私!」


二度と恋なんてしない。
その想いは変わってない。

きっと、今まで敦賀さんとの距離が近すぎたせいだ。



「セツカ」である期間が長すぎて、隣に敦賀さんが居ることが当たり前になっていた。
撮影が終わり、またいつもの――この、だるまやでお世話になっている生活に戻ることを“寂しい”と感じてしまったんだ。


………少し、風にあたろう。


だるまやの二階に借りている、私の部屋の窓を開ける。
窓から見える空には、曇りない綺麗な月と、それを囲む星たちが輝いていた。


大丈夫、恋なんてしていない。
ましてや”恋人に”だなんて、そんな図々しいことだって考えていない。


私の願い事は、ただひとつ。
星たちに祈る願い。


「――どうか敦賀さんの願いが、叶いますように――」


敦賀さんに想い人がいることは知っているから。
だから私は、敦賀さんの幸せを願いたい。



しばらく二階の窓から身を乗り出して星を見ていると、聞き覚えのある車のエンジン音が聞こえてきた。

これは…。


音が近付き、下を見ると。
そこには敦賀さんの車。


「…!敦賀さん…!?」


窓辺で固まる私を見つけて、敦賀さんが車から降りる。


「……やぁ、今晩は」

「お、お疲れ様です…!」

どうしてここへ?なんて、突然すぎて訊ねることも忘れていた。

「会えると良いな、とは思っていたけど、まさかこんなに簡単に顔が見られるとは、ね」

「え?敦賀さん、なんですか?」


二階の距離が、もどかしい。
もしかしたら織姫と彦星も、天の川を間にこんな気持ちだったのかしら。


「あ、そうだ――敦賀さん。

敦賀さんは今夜の七夕に、何か願い事はしましたか?」


「―――うん、したよ。

今、もう叶ってしまったみたい」

「え?もう、ですか?」

「うん。願い事もうひとつ、叶えてもらえるかな…?

――最上さん、今からデート、しませんか?」



私の願い事は、ただひとつ―――。







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私の住む地域は七夕祭りが8月7日なので、近所は全く七夕感がありませんwww