※蓮キョ成立後です。
というか、ずぅっと先のお話です。

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俳優の父と、モデルの母。
いつも家族三人仲が良く、小さな頃の俺は二人が自慢の両親だった。

強く、たくましく育つように、外での遊びも沢山教えてくれた。
毎年5月5日には、家に大きな魚型の旗と甲冑が飾られていた。


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「…久遠さん、それは『鯉のぼり』と『鎧兜の五月人形』ですよ」

「五月人形?」

「そうです。男の子の健やかな成長を願って、年に一回家庭に飾って、家族でお祝いをするんです。日本では5月5日が『こどもの日』ですね」

「そうなんだ」

俺の記憶にもある魚型の旗や甲冑が沢山載ったカタログを見ながら、キョーコが教えてくれる。
あの頃俺の家に飾られていたものは、今は何処に行ってしまったのか。


「ところで、このカタログはどうしたの?」

「先生が…、あっ、お父様が、用意してくださったんです。
『好きなものを選んでおきなさい』って」

俺の父親を『お父様』と慣れない様子で呼ぶ、最愛の人。


「初節句は、一年後なのに、ね」

大きくなったお腹を優しく撫でて、クスクスとキョーコは笑った。

「まったく、あの人はいくつになっても落ち着きのない…」

「きっと来年の今頃は、来日して盛大なお祝いをされるんですね。

愛されているんですよ。久遠さんも、この子も」

「キョーコも、ね」

俺がそう付け足すと、キョーコは一瞬驚いた顔をして、そして柔らかい顔で微笑んだ。


***


一時期の俺は、父の眩しい背中に目が眩み、一人日陰の道を選んで歩んでいた。
両親の愛も素直に受けとれず、親元を離れて連絡ひとつもしない、親不孝者だった。

親の寛大さ、偉大さは、大人になってやっと解る。
自分に子供が生まれ親になっても、いくつになってもあの人たちは自慢の両親だ。

……悔しいから、本人の前では言わないけれど。


***


「そういえば、お父様からメールで写真が送られてきていましたよ?
久遠さんの鯉のぼりは、お名前入りだったんですね」

「――え?」

「…ほら、これ。久遠さんの鯉のぼりの前で、お父様もお母様も素敵な笑顔です」



両親と一緒に写真に写っていたのは、既に無くなってしまったと思っていた、俺の鯉のぼり。

それは、今でも両親のもとで、大事に毎年飾られていたらしい。


――いくつになっても、俺はあの人たちの息子。


「ちゃんと、久遠さんが健やかに成長した姿を、お二人に見せなくちゃ」

「……そうだね、これからは親孝行しなきゃ」



憧れていた自慢の両親のように、俺とキョーコもなれるといい。
彼らから与えられた愛を、キョーコと共に、このお腹の子に受け継いでいきたい。


  あなたたちの子供で良かった。

  ありがとう。



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久しぶりの小ネタでした。
「こどもの日」ということでwww

最近アメンバさんの出産やピグともさんのご懐妊などおめでたいことが続いてますので、それに続いて妄想してみました^^
おめでとうございます♪