私は新年早々ツイていないのかもしれない。


「だ……、大吉……」



仕事に行く前に寄った神社で、今年一年の景気付けに引いたおみくじ。
そこには、『大吉』の文字が大きく書かれていた。


「まさか、私が本当にこんなモノを引いてしまうなんて…!
吉や末吉を予想していたのに…。

今日この瞬間、今年一年の運を使い果たしてしまった気分だわ…!!」


がっかりしながら、とぼとぼと仕事に向かう。
引いたおみくじをお財布にいれようと鞄の中を確認すると、そこにあるべきお財布が、見当たらない。


「あ、れ?…ぇえ!?」


お財布、落とした…!?

顔面蒼白。
やっぱり大吉を引いてしまった時点で、私の今年の運は使いきってしまったんだ。


「あぁ…もう……」


仕事まで時間もないけど、お財布がないのは困る。
仕方なく来た道を戻りおみくじ売り場に向かうが、いくら探しても目的のものは落ちていなかった。

ただただ時間だけを失って、肩を落として歩く。
急がなければ、仕事にまで遅れちゃう。
だるまやに戻っている時間もなかった。


***



テレビ局に向かう途中の交差点を、急ぎ足で駆け抜ける。
そこに、急に黒い塊が横から飛び出して来た。


「……!」


黒猫が、前を横切ったのだ。


「黒猫が横切るなんて…、ますます不幸への扉が開いてるわ…!!」


ビックリして立ち尽くす私に、一台の車が近づいてくる。


「……最上さん……?」


「つ、るが…さん…」


車の窓から顔を出したのは、敦賀さんだった。


***


「…そう、それは大変だったね」

敦賀さんに今日の出来事を聞いてもらい、この不運な状況を打破したいと考えていた。
敦賀さんの手にかかると、厄払いも出来そうだし!!

「でも、さ。
最上さん、売り子さんには落とし物がないか、聞かなかったの?」


あ。


「……聞いて、ないです……」

「…まず、聞こうか。テレビ局には俺が送ってあげるから」

「はい…」


もう!私のうっかり者!!

でも、今ここで敦賀さんに会えて良かった。
その点では、あの黒猫に感謝かな。

……そう言えば、『大吉』であることが衝撃的すぎて、ちゃんと中を読んでなかった。


私はもう一度、おみくじを開いてみる。



――待人 おとずれなく来る
――失物 男子の知る事あり


そして。




――恋愛 この人こそ幸福をあたえる――






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今日から仕事だ…と思ったら、ネタが出ました。

やっぱりストイックだなwww


因みに私は今年おみくじひいてません。
残念っ!