廊下の突き当たりにある、観葉植物の奥のソファ。

まるで隠れ家のように影になり、誰も近付かない静かな場所に、探していた人物を見つけた。



「……敦賀さん」



そこには、敦賀さんが座っていた。


「…やぁ、最上さん」



「探しましたよ。

どうして、こんな薄暗いところに…?」




そう言いながら、敦賀さんの前に立つ。




「……最上さんが来るのを、待っていたんだよ。

今日、ずっと、俺を見ていたよね…?」


「……………!!」




気づいていたんだ、私がずっと目で追っていたこと。



「なにか、俺に用があった…?」



きっと敦賀さんは、わかってる。
知ってる癖に………意地悪。



「…先日頂いた、ジュエリーケースの鍵…。

ずっと中が気になってしまって…開けて頂きたいのですが…」



そこまで私が話すと、敦賀さんはスッと立ち上がり、私の唇に、話せないように人差し指を当てた。




「…まだ、ダメ。」



!?
この前は、「早めに」って言ってたのに、今度は「まだ」だなんて!!


不思議そうに見つめる私に気付き、敦賀さんが話を続ける。



「あー…。

じゃあ、こうしようか。


来月の俺の誕生日に、またこのホテルで会おう。

その時は、ジュエリーケースを持っておいで」




そう言うと敦賀さんは、私の返事も聞かずに、指で私の唇をツウッとなぞったかと思うと、すぐに離れ会場に戻っていった。



その日はもう話せないまま…。






私の誕生日から1ヶ月余りが経過した。


2月。

敦賀さんの誕生日がやってくる―――――。








続く
******************




季節感が、ね(^^;

2月の気分で読んでください…。