敦賀さんは、私のツボをつくのがとっても上手よね…。


去年の誕生日は、クイーンローザ様とプリンセスローザ様を頂いた。

素敵な言い伝えにのせられて私の手元に残されたけれど、きっととても高価なものだったんじゃないかと、後になって心配になった。

今年は…



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「こんな高価なもの、頂けません!!」


「高価なものじゃないよ?
ほら、最上さん、こういうの好きじゃない?」



う、確かにソレは私の好みのど真ん中ですけど!!

でも、デザインが明らかに高価であることを物語ってる。



「コレって…アンティークじゃ、ないですよねぇ…?」


一点物、とか、敦賀さんなら普通に金額も見ずに買っちゃいそうで、恐い。


「分からないけど、同じものは二つとないみたい」



や、やっぱりぃぃぃぃ!?
そんなあっさりと重大な事実を突き付けないでよ~!!


「本当に、最上さんの好みだろうなーと思って見てたら、つい買っちゃってて」





敦賀さんの手にあったソレは、表面に薔薇の模様が彫られた、宝箱型のジュエリーケースだった。




まるで、私の想いを封印した心の箱のような…。





「…ね?受け取って?」


「はぁ…。


…ん?コレ…」


そのジュエリーケースには、鍵がかかっていた。


「敦賀さん、鍵がかかってます」


「ん?うん、かかってるね」


…イヤイヤイヤイヤ、『かかってるねー』じゃないでしょう!敦賀さん!!




「…鍵は、俺が持ってるよ」

「え?」

「最上さんが、これを俺が開けてもいいと思うときまで、待ってるから」


…どういうこと?
私のこの不安定な心の内を知っているかのような…。



「できれば早めにお願いするね?


俺もそう長くは我慢できないから」


なっ…!?
ほ、本当にどういうことなのっ!?



宝箱のなか、早く見てみたいけれど、少し怖い気がする………。






続く…?