~3倍敦賀さんと3倍キョーコちゃん②~



ハッとキョーコが正気に戻る。

「嘉月といえば組み合わせは未緒でしょ」

「…」

ツッコミどころが違うでしょと蓮は思ったが異常なこの状況に何も言えない。

そうこうしていると目の前を黒い物体が横切る。

カインがセツカを連れて外に出ようとしていた。

「セッちゃん。どこ行くの?」

キョーコが尋ねるとセツカはカインに耳打ちした。

直ぐにカインからセツカに耳打ちが返される。

「『セツの服を買いに行く』ですって」

本体にもセツを介してじゃないと話せないのか!!

と蓮は思ったがキョーコのツッコミの方が遥かに早い。

「それ以上、カイン兄さんに浪費させちゃダメ!」

蓮はやはりそのツッコミは違うと思ったのだがセツカの方はその言葉に納得した様子だ。

「兄さん、無駄遣いはダメよ」

その言葉にカインは捨てられた子犬のようなかわいそうな顔になる。

「う゛」

キョーコとセツカが同時に怯んだ。

セツカがカインの腕を引っ張るとカインは少しかがんだ。

チュ

セツカが背伸びしてカインの頬にキスを落とす。

蓮とキョーコが唖然としているとカインが仕方ないなぁと囁いて嬉しそうにセツカとリビングへUターンしていった。

ホッとしたのも束の間、ベッドルームから『パッチーーンッ』という音とその後に爆笑している声が聞こえてきた。




<つづく>