【SIDE蓮】


「どうして謝るの…?やはり君は」

-『結構です』-と逃げたあの日のように

今の俺みたいな

すっかり汚れてしまった存在よりも…

綺麗な妖精を今も求めているのだろうか…

 腕の力を緩め、顔を覗き込む。

「俺の気持ちは、迷惑でしかない?」

「違う…違うんですっ…///!!」

叫び、眼を伏せ、また俺を見上げては頬を染め眼を反らす。

-- え?なんだ?この反応は--

しばらく口をパクパクさせた後、躊躇いながら彼女は言った。

「わたくし、嘘を申しました」

「え」

「私、私、さっき誰を想って演じてたのかって聞かれて…コーンなのかという質問に…『はい』とお答えしましたが!!

 …それが嘘なんです。敦賀さんがそんな風に想っていてくれていた、なんて思いもしなかったから……」

指同士を突き合わせながらの上目遣いが俺の心を責める。

「少年天使を見ながら、本当は私、この人が、敦賀さん、だったら良いのにって…」

思ってたんです……と消え入りそうな声で言った…確かに言った…!!

「え?俺?…本当に?」

「はい……」

俺は……手を当てて隠そうとしたが、顔に血が登っていくのを止める事が出来なかった…

彼女はそんな俺を口を開けてしばらく眺めた後、リハーサルの時よりも幸せそうに笑っていた……







落ち着きを取り戻した俺は、今度こそ、天使長の役をまっとうし、無事撮影を終える事が出来た。

最上さんとは…いろんな事を話し合い、お互いに辛い気持ちを分け合えるようになった。そして、二人のこれからの事も--

思えばきっかけは、あの役者【カオン】が現れた事。あれから彼女の周辺で彼の姿を見たらと、警戒していたが、その後は見なかった。

彼こそまさしく俺達にとっても、愛のキューピッドだったのだろうか……?






Fin.


次回のオマケで最後でつ(≧ε≦)