「おや、天使長様のご登場だ。今日はよろしくお願いしますね。敦賀さん」

キラキラと光り輝く笑顔を纏った敦賀蓮その人だった。


 銀色の髪に翠がかった瞳が、二人の間を行き来する。

 シンプルな二人の天使とは対照的に豪奢な装飾品を惜し気もなく身につけ、それに埋もれる事の無い秀麗な面立ち。

 その視線が自分の顔で止まった時、跳ね上がる心臓の音に驚き、早々に視線を外してしまったキョーコは、その自身の失態を後に嫌というほど悔やむ事になる。

なんて麗しい天使長様…と言うより、まるで王様みたい……///で、でも…何か…怒ってる、よね……とキョーコが思っていると

「こちらこそ、よろしく。カオン君…だったよね。日本語、堪能だね。……お世話係なんて必要無いんじゃないかと思うくらいだ」

「敦賀さんからお墨付きを頂いちゃったな!日本語は家庭で学んだので自信はあります。が、細かい日常の作法など、わからない事を即座に聞ける存在が欲しかったので。

 でも…京子ちゃんは想像以上に素晴らしいガイドさんだ……」

と香苑は美しい顔をキョーコにむけ、うっとりと見つめる。

「ま、また香苑君!!そんな冗談を…」

「冗談とは失礼じゃない?君はとっても…」「ところで最上さん。」

香苑の言葉を遮る蓮。

「ふぇっ?は、はい!!」

「君は本当に、妖精が大好きだよね。良ければ、何故彼を妖精と間違えたのか聞いてもいいかな?」





【SIDE 蓮】


 あんなにとろけそうな表情で、アイツを見つめるなんて…!

妖精だって?…冗談じゃない。君にとっての妖精は俺一人で十分だろ?そうじゃないっていうのか?

だいたいなんなんだ?アイツの名前…カオンカオンと、君がヤツの名を呼ぶ度に、間に入って引き離したい衝動に駆られる!!

 君の大好きなコーンは俺だ。俺なんだ……!!

「聞こえてたんですか!?えーと、何故なら…私の知ってる妖精に姿がそっくりだったんです。軽やかな身のこなしとか…。
 それで……香苑君も妖精のお仲間なんじゃないかって、つい…///」

「君!妖精の知り合いが居るのか!?是非僕にも紹介して欲しいな~?何処に居るの?プッ!アッハハハ!!駄目だ可笑し過ぎる!!」

 質問しているのは俺だ!お前は黙ってろ!