それは天界でのお話。
ある日呼び出された二人。

 見た目は15、6歳ほどの人間の少年と少女。

 だがその背中から覗く両の翼が、人ではない事を現していた。

呼び出したのは天使長。二人は天使だった。

天使長は命ずる。

「二人で運命の愛を育む手助けをせよ」
と。

二人は一人前の愛のキューピッドになる為、協力する事を誓い合う。

人間界へ舞い降りた二人は、良い雰囲気のカップルを見つけては運命の二人と目星をつけ、焦る余りに性急な、いわゆる『お節介』となって、かえって何もしない方がよかった、という残念な結果を繰り返していた。

その活躍振りは当然天使長の耳にも入り、その度に手厳しい評価を受ける二人。

このままでは期間内に間に合わない。

一人前にはなれないと嘆く少女天使に少年天使は、最後まで諦めてはいけない。と諭し、ふたたび協力し合って、愛の手助けにつとめた。

結局一組のカップルの成立にも至らなかった二人だが、手に手を取り合い、天使長の元へとありのままを報告しに行く。

覚悟して評価を待つ二人に天使長の出した答えは…


天使長は二人のしっかりと繋がれた手を指差し、

『合格』

予想外の言葉に二人は呆然と顔を見合わせ、そして天使長も羨むほどに幸せそうに笑い合うのだった。

二人の愛のキューピッドは、自身の運命の相手との仲を取り持つ事に成功していたのだった……



「……という、まあーなんともご都合主義というか、わかりやすくて親しみやすい、とも言えるか?なお話だよ。台詞は無いから、サイレントムービーのような技術が問われるよ、まあ頑張って、最上さん……って、おーーい、何処見てるんだい?」


キョーコは胸の前で祈るように手を組んではあらぬ方をよだれを垂らしそうな表情で見つめている。

彼女には、麗しい天使達の姿が見えているのだろうか?既に見慣れた光景だが、話をちゃんと聞いていたのかが気掛かりだ。と椹は思った。

「えーと、最上さん?君が演じるのはこの少女天使だ。もちろん受けるよね?」

「はいっ!!もちろん、お受け致しますっ!!」

キョーコは元気良く二つ返事で応えた。





…しずかさん、ごめんなさい…。
私のケータイからだと字数の関係でこまめに区切ることになってしまいます…(T_T)