『一人で出かける時は、無防備な服は着ないようにね―――』

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今日はテレビの仕事もだるまやの仕事もお休みだったので、夏物の服を揃えにショッピングに来ていたところだった。
普段はあまりお買い物をしないけれど、やっぱりテレビに出させてもらうようになると数種類は入り用になる。

「…これぐらいあれば、着回すことも出来るかな?」
数種類のショップバッグを持ち、街を歩く。

今日のファッションは、透ける素材のブラウスに中にはキャミソール、下はスカートに見える形のショートパンツを穿いていた。
スカートにしなかったのは、動いても中が見え難いこと、それに…敦賀さんから以前言われた言葉があったから。

『一人で出かける時は、無防備な服は着ないようにね』

今まで気にしたことはなかったけれど、敦賀さんの意見は世の男性の意見だろうし、街中で下着のような姿(キャミソールのみ)で出歩く女性は目のやり場に困る、ということかしら?と、素直に聞き入れることにした。


街を歩いていると、急に後ろ側から声をかけられた。
「あ、おーっす!」

振り返ると、知らない男性。誰かと間違えてる?

「結構買い物したねぇー。もう終わったの?
これから俺と遊びに行かない?」

もしかして…これが噂のナンパっていう行為!?
まさか、私に??

「や…あの…もう帰るので…」
「送っていくよ~♪」
「あの、ちょっ…」

し…しつこい!!
なんなの~(>_<)
声をかけてきた彼が私の手首を掴もうとしたその時…

「俺の彼女に、なにか用?」
「…つ…!」

敦賀さん!と呼びそうになり慌てて抑える…が、サングラス程度の変装では見事にバレバレで。

「さ、行こう」

敦賀さんに手をひかれその場を後にする。道路脇には敦賀さんの車。仕事の移動時に偶然通り掛かったようだった。

「お前…敦賀蓮!?週刊誌に売ってやる!」
なにやら色々言っている彼を無視し車の中へ。

「…以前君に言ったよね?『無防備な服は着ないように』って」
「…え?今日は気をつけたつもりだったのですが…」
敦賀さんは、はぁ、とため息を一つつき…

「…君にはどこが『無防備』だったのか知らせる必要があるね」
そういいながら私の太股に手を置いた。
「ちょ…っ///」
「すぐに残りの収録一本終わらせるから、今日の夜は覚悟してね?」


その夜、私は敦賀さんから際どい教育を受けたのだった…。