いつも忙しい貴方。

なかなか会うことは出来ないけれど、
偶然にも出会えた日があれば、その日は一日幸せで。
胸の中にポッと明かりが灯るよう。


でも、その度に想う。

私は只の後輩で、
理由が無ければ自分から会いに行くことは許されず、
こうして「偶然」を待つことしか出来ない、と。


声をかけてくれるのは、優しいから?
――微笑んでくれるのは、残酷だから?


その優しい瞳を独り占め出来る女性はどんなひとなのだろう。
万人に対し紳士に接する貴方だけど、その女性の前でだけは取り乱したりもするのかな。

胸が痛む。
――その女性が、羨ましい。


…私は何を考えてる?
これは「恋」なんかじゃない。
「恋」なんか二度としない。



テレビをつけると、そこには貴方の姿が。

ご飯、ちゃんと食べてるのかな。
体調管理、大丈夫かな。

会えない分、募る想い。


「……敦賀さん……」


画面に写る貴方の顔をそっと撫でる。

近いようで、遠い距離。
顔を見ると、泣きたくなる。



その時、

pipipi…

携帯電話の着信音が。

画面には「敦賀さん」の表示。


「…もしもし、敦賀さん?
あの…」




いつか理由なく会うことが許されるその日を想いながら、
私は今日も理由をつけ貴方に会いに行く―――。