育児休業規程 第○○条 年次有給休暇等の取り扱い
育児休業は、法令通りの取得でも最高1年(特別な場合は1年2ヵ月又は1年6ヵ月)に及ぶ長期間の休業になります。
そのため、
出勤率で取得できるかどうかが決まる年次有給休暇
勤続年数が関係する、退職金の算定、休職の要件など
といった、出勤率や勤続年数によって処遇が変わってくる事柄については、育児休業をどのように取り扱うかによって結論が変わってくる可能性があります。
例えば、退職金の算定で、
育児休業の期間も勤続年数に入れると20年
入れなければ19年
というと、退職金の額も変わってくることになろうかと思います。
そうなると、育児休業の期間を勤続年数に算入するかしないかで、従業員とトラブルになることも十分考えられます。
このようなことは、育児休業を取得するときには特に問題になることはないと思います。
しかし、その後ずっと時間がたって、いざ退職するとか、休職するとか、というときになってはじめて問題が表面化するものです。
このような問題を引き起こさないためにも、育児休業の期間をどのように取り扱うかをあらかじめ決めておく必要があります。
まず、以下の一般的な条文を例示します。
(年次有給休暇等の取り扱い)
第○○条
年次有給休暇の権利発生のための出勤率の算定にあたっては、育児休業をした日及び子の看護休暇を取得した日は出勤したものとみなす。
2. 退職金及び休職期間の算定に関し、育児休業をした日は勤続期間に含めない。
まず、第1項の年次有給休暇について、
労働基準法第37条第7項の中で、年次有給休暇の権利発生のための出勤率の算定にあたり、育児休業期間は出勤したものとみなす、としていますので、会社側の裁量の余地はなく、必ず出勤したものと取り扱わなければなりません。
ちなみに、子の看護休暇については、年次有給休暇との関連について法令では何も触れていません。
そのため、各会社で自由に決定することができます。
(ただ、制度の趣旨からすると、育児休業と同じように出勤したものと取り扱うのがよいのではないかと個人的には考えます。)
次に、退職金、休職期間、特別休暇など、会社が独自に定めている制度で、勤続年数が関係してくる事項については、法令上の規制は特にないので、育児休業期間との関係は各会社で自由に決定することができます。
例示した条文のように、育児休業した日は勤続期間に含めないことも可能ですし、勤続期間に含めることも可能です。
また、
退職金については育児休業の期間を勤続期間に含めるが
休職期間については育児休業の期間は勤続期間に含めない
とすることも可能です。
どのように決めるかは各会社の最良ですが、重要なのは、従業員によって取り扱いを変えないことです。
社長の気分次第で扱いが変わってしまうのではないか?
という心配を従業員がしないように、退職金や休職期間などの算定の際に育児休業の期間をどのように取り扱うかを明文化する必要があります。