日本人に合うiPSを備蓄 京大、今秋から提供 | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

日本人に合うiPSを備蓄 京大、今秋から提供

京都大学iPS細胞研究所(所長・山中伸弥教授)は28日、再生医療で使う治療用のiPS細胞を備蓄し、今秋から提供を始めると発表した。日本人で拒絶反応を起こしにくいiPS細胞をつくり、病気やケガの時の移植に備える。3年以内に日本人の3~5割をカバーできるようにする。必要なときに安価なコストで提供する体制を整え、iPS医療の普及を後押しする。
京大iPS研医療応用推進室の高須直子室長は28日の記者会見で「(iPS細胞の提供開始で)臨床に弾みがつくのではないか」と期待を示した。
iPS細胞をあらかじめ神経の細胞に成長させ、事故やケガで脊髄が傷ついた患者に移植するなどの備えができる。ただちに治療に入れば、治りやすくなる。
臓器や神経の治療では、桁違いに多くの細胞が必要になるだけに、安全性を確かめたiPS細胞を備蓄しておく利点が生きる。政府は2013年度から10年間にわたり、年27億円の予算を支援する。
これまでの再生医療は患者自身の細胞からiPS細胞を育て、傷んだ体の機能を取り戻す計画が先行している。本人のiPS細胞は、拒絶反応は避けられるが、コストが高く、移植までに半年以上かかる。理化学研究所が昨秋、目の難病治療の研究にかけた培養期間は10カ月で、費用は5000万~1億円ほどだった。
iPS細胞のタイプを示す細胞の型(HLA型)は数万種類を数え、日本人だけでも1万種類以上ある。一人ひとり少しずつ違い、他人のiPS細胞で拒絶反応が起きる原因になっている。HLA型が他人と完全に一致する確率は1万~100万人に1人とされる。 
京大は日本赤十字社と協力し、特別なHLA型を持つ人を見つけた。この人からつくったiPS細胞は日本人の約20%の人で拒絶反応を起こしにくいという。血液の提供を受け、治療用iPS細胞の作製に取りかかった。
さらに22年度末までに、ほかにも日本人に合うHLA型の人を探す。すでに10人程度を絞り込み、数人から血液を採取した。3年以内に5~10人を突き止め、日本人の3~5割をカバーする。140人を特定すれば、日本人の9割に対応できるという。
備蓄が軌道に乗れば、患者からオーダーメードで培養するのに比べ、安いコストと短い期間でiPS細胞を提供できる見通し。ただ、1人の提供者からiPS細胞をつくり、備蓄用に安全性を検査するだけで2000万円以上かかる。運用の効率を上げる必要もある。
(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG28H2Y_Y5A420C1EA2000/

今秋にもストック提供を開始 医療用iPS細胞で 京都大
京都大iPS細胞研究所は28日、拒絶反応が起こりにくいタイプの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を備蓄しておくストックプロジェクトで、実際に再生医療で使用できる安全性を備えたiPS細胞の研究機関などへの提供を、今秋にもスタートすることを明らかにした。第1号は日本人の約20%に適合するiPS細胞になるという。
同プロジェクトは、日本赤十字社などと連携。献血した人などから拒絶反応が起こりにくいタイプの細胞を持つ人を探して同意を得たうえで提供してもらい、iPS細胞を作製して備蓄する。
すでに、日本人で最も多くの人に適合するタイプのiPS細胞を作製。現在は遺伝子に異常がないかといった安全性の検証を進めている。日本人の約20%で拒絶反応が起こりにくいiPS細胞を、今秋ごろ大学などの研究機関に提供できるという。製薬会社などにも有償で提供する。
さらに、現時点で拒絶反応が起こりにくいタイプの細胞を持つ人は十数人見つかっているといい、これから順次iPS細胞の作製を進める。平成29年度までに日本人の30~50%、34年度には80~90%をカバーできるiPS細胞をそろえることを目指している。
再生医療では、患者本人から作製するiPS細胞を使えば拒絶反応は起きないが、かかる費用と時間が大きい。そこで、あらかじめ拒絶反応が起こりにくいiPS細胞を作製して備蓄しておくことで、時間と費用を抑えることができると期待されている。
(産経新聞)
http://www.sankei.com/west/news/150428/wst1504280069-n1.html

京大研究所 iPS細胞を秋にも配付へ
京都大学iPS細胞研究所は、拒絶反応が起きにくい特殊なiPS細胞をこの秋をめどに希望する大学病院などに配付し、再生医療の臨床研究に役立ててもらうことになりました。
これは28日、京都大学iPS細胞研究所が明らかにしたものです。
体のあらゆる組織になるとされるiPS細胞は、病気やけがで失われた体の機能を取り戻す再生医療への応用が期待されていますが、患者1人1人から作り出すとコストがかかるのが課題です。このため京都大学iPS細胞研究所は、特殊なタイプの免疫を持つ人に協力してもらい他人に移植しても拒絶反応が起きにくいiPS細胞を作って誰にでも使えるようにする事業を進めていますが、この秋をめどに希望する国内の大学病院などに配付できるようになったということです。
目の網膜の病気や脊髄損傷などの治療を目指す臨床研究に応用される予定だということでiPS細胞研究所の金子新准教授は「1日も早く患者に届けられるよう確実に進めていきたい」と話しています。
(NHKニュース)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150429/k10010064591000.html




これで応用研究にさらに弾みがつきそうですね。

将来の再生医療-遺伝子治療との融合-」もご参照下さい。