iPSで軟骨再生、野球肘など機能回復 京大 | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

iPSで軟骨再生、野球肘など機能回復 京大

京都大学iPS細胞研究所(山中伸弥所長)は、iPS細胞を使った軟骨の再生医療の研究に乗り出す。事故やスポーツ障害で損傷した関節部分にiPS細胞からつくった軟骨を移植して機能の回復を狙う。質の高い軟骨をつくり出す基盤技術にめどが付いたとしており、動物実験などで安全性を検証し、6~7年後の臨床研究を目指す。
同研究所の妻木範行教授が責任者になる。8月にも研究助成機関の科学技術振興機構と契約を結ぶ。期間は最長10年。年約1億円の支援を受ける。
「野球肘」などスポーツでの繰り返し動作は、関節の軟骨の一部分に損傷を与える。痛みを生じたり、損傷が進行したりする。研究では損傷部分にiPS細胞からつくった軟骨を移植して元通りにする。年間で100~1000人くらいの適用患者がいると推計する。
現在は、損傷していない部分の軟骨を採取して培養、移植する手法がある。ただ、軟骨細胞そのものを培養すると「線維軟骨細胞」になり、移植後、しばらくたつと機能が衰えやすい。iPS細胞から作り出せば、線維軟骨細胞になりにくい。
(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG07002_Y3A700C1TJM000/