iPSでパーキンソン病治療 来年度にも臨床研究申請へ | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

iPSでパーキンソン病治療 来年度にも臨床研究申請へ

iPS細胞(人工多能性幹細胞)から神経の細胞をつくり、パーキンソン病の患者の脳に移植する新しい治療法について、京都大iPS細胞研究所の高橋淳教授は6日、早ければ来年度にも臨床研究の実施を国に申請する意向を明らかにした。
パーキンソン病は、神経伝達物質ドーパミンを作る神経細胞が脳内で減り、手足のふるえや運動機能の低下が起きる難病。高橋さんらは、患者の細胞から作ったiPS細胞をドーパミンを作る神経細胞に変化させて脳に移植する。
東京都内で開かれた講演で高橋さんは「プロトコル(研究の計画)はほぼ固まった。今後1~2年かけて有効性、安全性を検証し、臨床研究に進みたい」と話した。
パーキンソン病は、症状を和らげる薬はあるが、根治は難しい。病気で減った細胞を外から補う治療への期待が高い。iPS細胞は増殖する能力が高く、神経細胞の量を確保しやすいため、脊髄(せきずい)損傷などと並んでiPS細胞を使う再生医療の有力な目標とされてきた。文部科学省が昨年度発表したロードマップ(行程表)では、臨床研究の開始を「3~5年後」としている。今回の研究では、遺伝性ではない患者を対象にする。
iPS細胞の臨床研究では、理化学研究所のチームが加齢黄斑変性と呼ばれる目の病気で実施する計画を厚生労働省に申請し、審査が進んでいる。
欧米では80年代から、中絶胎児の細胞を移植するパーキンソン病治療が400例ほど行われている。一定の効果が確認されているが、1回に胎児5~10体分の細胞が必要なことや、移植時に不要な細胞が混入して患者の体が勝手に動く副作用が出ることなどの課題がある。
(朝日新聞)
http://digital.asahi.com/articles/TKY201306070005.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201306070005