続きです。


ロッテの特徴[投手陣]

次に投手。チームの勝ち頭である渡辺俊介15勝でリーグ4位。防御率(2.17)も2位の成績。完投はリーグ3位のだが、トップの松坂は15で約半分(ここがポイントになる)しかない。勝率が7割8分9厘でリーグ3位。注目すべきは与四球27(同30位)と少なく制球がいい事で、自責点も45(同28位)と少ない。同じ8完投の(ホークス杉内は与四球43(同12位)で16個も多いのだ。自責点はそう変わらず46(同25位)。ちなみに杉内は渡辺より投球回数が9.2回(約1試合分)多いが、与四球が16個多い事は渡辺の制球のよさを物語っているだろう。今季、杉内は沢村賞を受賞した。沢村賞は毎年誰かに与えられるものではなく、それに相応しいと判断された年だけ受賞者が出る。満場一致で決まっており、彼の成績から判断すれば受賞は納得できる。渡辺はその杉内よりも制球がいいのだ。とすれば(杉内より登板が3試合少ない)渡辺が「もっと投げていたら」沢村賞はどちらが受賞していただろうか?


チーム全体のデータがなくてもどかしいが、ロッテからは10勝以上勝ち星を挙げたいわゆる2ケタ投手を6人も輩出した。他チームでは、ソフトバンクから4人、西武から3人、オリックス、日ハムからは各1人で、楽天は岩隈が9勝どまり。先発の柱は最低3人必要で、だが近年は登板間隔を開ける傾向にあって5人は欲しいところ。ロッテは、その先発の柱が6人もいるわけだ。安定した投手陣といわれる所以がそこにある。

角度を変えてみる。ロッテにはいわゆる勝ちパターンの中継ぎ陣がいる。薮田、藤田、小林雅だ。この3人の防御率をトータルすると、2.74になる。同様にオリックスは3人で2.59。西武は二人で3.67。楽天は二人で3.49。ソフトバンクは3人で3.70。日ハムは2人で4.08。これは45試合以上登板した中継ぎ投手のデータである。オリックスに負けているだけの、リーグ2位の成績だ。しかしオリックスからは2けた投手を1人しか出していない事から、つまりは中継ぎがそこそこいい投球をしてはいるが、それ以前にリードを許している展開が容易に想像できる。

総合すると、ロッテの投手陣は2けた投手が6人もいて、中継ぎ陣はリーグ2位の安定した投球をしている。言い換えると、柱としての先発がきっちり試合を作っていて、中継ぎも試合を決して壊してはいない理想的な姿だ。素晴らしい!!


さあ、ここからが問題なのだ。2けた投手のなかで、渡辺の8完投は既に述べたが次に完投が多いのは清水の7だ。そして、あとの投手は久保の5が来て、4、2、2と続く。完投率が高いのは清水の10勝に対する7で、渡辺(15に対して8)と久保(10に対して5)は約半分だ。あとは12勝、11、10に対して4、2、2しか完投がないのだ。これは、「投手の柱とされていて現にいい投球をしてはいるが、完投する事は少ない」事を表わしている。


ロッテの投手陣は先発、中継ぎ、抑えの小林雅、共に素晴らしい仕事をしている。磐石な投手王国だ。ただ、先に述べたように15勝のうちの半分しかない8完投や、他の投手も極めて完投が少ない事を、僕は問題にしたい。


次回はまとめに入ります。