~過去編終わり~

ファル「…一つ聞き…たい。」


ロロノア「なんだ?」


ファル「あん…たの名前…は…ロロノア・ゾロ…か?」


ロロノア「…ああ。」


ファル「じゃあ、あんたはなぜ……俺達…の…故郷を…支配…した?」


ロロノア「…。」


~過去編2~

マルコ「船長はお前を心から慕っていたんだヨイ…!」


ロロノア「ああ…。無念…。偉大な男の海賊旗を、俺は汚しちまった」


ロロノア「…我が命ここで絶とう!」


マルコ「…。分からず屋!お前は生きろ!白ひげ海賊団の柱となるんだヨイ!…俺だって、スフィンクス船長の船にずっといたい。だがもし、スフィンクス船長がもう一度、海賊時代に名を刻む日が来るなら、スフィンクス船長は、きっと白ひげの船にも顔を出す!」


マルコ「我等の船長を待とう…!」


ロロノア「副船長よ…?」


マルコ「…?!」


ロロノア「あんたの道は、それで正しい。」

ロロノアはその一言を残すと、全ての力を振り絞ってルビー島を襲った。人は一人も殺さなかった。だがルビー島を追い詰めたのは確かだ。


全ては新しい道に行く仲間、マルコのため。


ロロノアとマルコは、このままではルビー島を壊した鬼だ。ロロノアは、白ひげの船に乗るマルコが、鬼であってはならないと思い、この行動を起こした。

マルコ「ゾロ?!なにしてるんだヨイ!」

マルコは島を走り回り、木を切り倒して進むロロノアを、必死に止めようとした。しかしロロノアは止まらない。


ロロノア「なんだなんだ?…まだ生きていたのか?…さっさと消えろ!」

ロロノアは、追ってくるマルコにそう言った。マルコは、ロロノアが何をしたいのか分からなかった。だが、これ以上島を壊すロロノアには納得いかず、マルコはロロノアに攻撃をしかけた。


一撃のパンチ。…ロロノアなら簡単によけられたはずだ。しかしロロノアは、わざとパンチを喰らった。







ロロノア「なんだ?!…こいつ!うわ!白ひげの隊長マルコか!」

ロロノアは、大きな声で、そう叫んだ。島の誰もが聞こえるような大きな声で。



そして、黒いバンダナを外して、小さな声で言った。


「お前はお前の道を行け。白ひげ海賊団一番隊隊長、不死鳥マルコ。」
ロロノアとマルコの戦いは引き分け、という言葉が無難だろうか。

ロロノアは腹に深い傷を負い、ほぼ立てない状態。マルコは不死鳥の能力で、ダメージを回復するも、海水をかけられ能力が使えない状態になると、右半身に斬り傷を負い出血多量。

ロロノアもマルコも戦う意味さえ忘れ、ただひたすら目の前にいる仲間に攻撃をした。

…戦場は、スフィンクスの船から、ルビー島へと移動した。小さな小島。人々は逃げ回った。


ロロノア「ただ…ひたすらてめぇが憎い。」


マルコ「それは…俺も……同じだヨイ」


ロロノア「俺は!…昔からお前を怨んでた…!」


マルコ「…。」


ロロノア「お前は副船長。確実にスフィンクス海賊団の二番手だった…!」


ロロノア「しかし俺は、常に三番手。お前を追いかけ、追いかけ、とにかく副船長になろうとした!…でも三番という現実は変えられなかった!」


マルコ「…」


ロロノア「別に、スフィンクスの船に、俺はこのままいるつもりはない。白ひげの船に行くつもりもない。…だが、今までの無念を、ここで晴らす!」


マルコ「…。」









マルコ「…お前は、二番手だった。」


ロロノア「?!」


マルコ「…船長は、お前の強さを認めていたんだヨイ!」


マルコ「しかし、船長はお前を副船長にしなかった。なぜだか分かるか…?」


ロロノア「…俺が弱いとでも言いたいのか?!!」


マルコ「違う!!…どんなに強い敵にも、どんなに格上の相手にも、何も考えずに立ち向かうお前に…













背中を見せる職を、やらせたくなかったんだヨイ…!」







ゾロは泣き崩れた。涙が止まらなかった。スフィンクス海賊団の海賊旗に、自分が泥をぬってしまったことに、悲しさと悔しさが込み上げた。

ゾロは思い出した。「海賊はときには、逃げる。」というスフィンクス船長の言葉を。海軍なんて、一人で丸ごと相手に出来るのに、仲間を思って逃げる船長。…あの人は破壊神なんかじゃなかった…! …さぞかし辛かっただろう。俺なら逃げずに戦ってた。己の強さだけを望み、大切なものを失ってた。

船長は、俺に辛い思いをさせたくなかったのか…?
























エメラル・D・スフィンクス。





あんたはよぉ、どこまで偉大な、男なんだ…?
ロロノアは、バンダナをとってから、スフィンクスの話を始めた。ゆっくりと…。


~エメラル海賊団の過去~

スフィンクス「ロジャーが捕まったらしいな…。」

ロロノア「はい、船長…。しかし、ロジャーレベルの男が海軍に捕まるわけありませんよ!」

スフィンクス「ああ…。アイツの息子を守るためだろうよ。ゴール・D・エース。名前はアイツがつけたらしいぜ。」

ロロノア「名を背負うだけで狙われるのは確かですね…」

スフィンクス「だからこそロジャーは、自身の命を新しい時代に懸けたのだろうよ。」

ロロノア「…。」

スフィンクス「俺にも息子が出来たらよう、悪いが現役引退だな~!」

ロロノア「そんな、縁起でもない!」

スフィンクス「ガハハハハ!確かになあ!」

しかし、あの会話をした時点で、息子が出来ることは知ってたのだろう。スフィンクス船長は、遺書らしき文章を残して、突然船から消えた。

「愛しの船員(クルー)達へ

勝手な船長で悪かった。手紙何て言う、男のロマンに恥を塗るような引退ですまない。…俺に子供が出来たんだ。名前はファラオにしようと思う。エメラル・D・ファラオ。ファル、とでも呼んでおこうか。俺は今5億の首だ。このまま海賊を続ければ息子も狙われる。…生まれて来る子に、罪はない。ロジャーの子は順調に育っているみたいだな~。いずれロジャーの子と、ファルが戦うときがくるのかもしれない。…お前らはこれから白ひげのところに行け。ロジャーが殺された次の時代の、頂点に立つ男だ。白ひげにはもう話は伝えた。マルコとゾロはいきなり隊長になれるみたいだ。やってみる価値はあるだろう。…海は広いな。…時は長いな。ありがとうよ、仲間達。」


マルコ「…」


ロロノア「…」


マルコ「白ひげ…。エドワード・ニューゲート。」


ロロノア「グラグラの実の能力者だよな?」


マルコ「…あぁ。クルーを息子と呼ぶ男だヨイ。」


ロロノア「俺は行かない。」


マルコ「なんでだヨイ!船長命令だヨイ!」


ロロノア「スフィンクスはもう…船長じゃない。」


マルコ「…ゾロ。お前よくそんな口が聞けるヨイ!」


ロロノア「…殺る気か?」


マルコ「スフィン船長は俺達の船長だヨイ!」


手下達「ちょっとまってくださいよ、マルコ副船長!」


マルコ「…!」


手下達は、マルコの覇気でそのまま倒れた。


ロロノア「マジらしいな…!」


マルコ「当たり前だヨイ!…どうせ白ひげの船にいっても、ゾロとは犬猿の仲だろう?」


ロロノア「ならば、今決着をつけようとでも言うのか?」


マルコ「貴様が臨むなら!」


ロロノア「てめぇが仕掛けた喧嘩だろうか!」


マルコ「…!」


ロロノア「鬼斬り!」




こうして、エメラル海賊団、副船長の不死鳥マルコと、攻撃部隊総合隊長ゾロの戦いは始まった。そしてその戦いは終わることが無かった。
ファルが出航してすぐだった。大きな海賊船がファルの小さな小船の前に立ち塞がった。

あのドクロはどこかで見たような感じがした。同時に、緊張感にあたりが包まれ、ファルは息を呑んだ。

船から一人の男が顔を出した。
「…小僧、名前は?」


「…先に名乗れ。それが礼儀だろう?」ファルはそう言い返した。

「随分生意気な小僧だな。我等は剣士海賊団だぜ?…斬られたいか?」


「…俺を斬れるとでも思ってるのか?…俺も海賊だ。」


「笑わせるな。一人の海賊がいるか。」


「黙れバンダナ野郎!」



「ほぉ。…てめぇら、この小僧を殺せ!」


手下「アイアイサー!」


ファルは運が悪かった。相手は大剣豪ロロノア。懸賞金は一億を超えている。それを知らずにファルは立ち向かう。


ファル「なめんなよ!」


ファル「俺はメラメラの実を食べたんだ!」


手下「メラメラの実は白ひげの船のエースの能力だろ?…ふざけるな!」

ファル「メラメラの実は、この世に二つ存在する。赤い炎はエース、青い炎はこの俺だ!」

ファル「…炎帝!」

手下達「ぐわぁぁ~~」

ロロノア「…小僧?! まさか実を喰ってたとはな。しかし、使いこなせてはないらしい。」

ロロノア「お前ら!小僧は能力を操れていない!隙をみて戦え!」

手下達「アイアイサー!」


ファル「使いこなせてない?…それでもカス相手なら関係ない!」

ファル「青火拳(あおびけん)!」
青い炎をまとったファルは、手下達を100人は潰しただろうか。しかし、メラメラをまだ使いこなせていないために、スタミナの消費が激しかった。


ロロノア「もう、やめろ。小僧。」


ファル「…ふざけ…る…な…」


ロロノア「お前はここで死んでいいような器じゃない。」


ファル「…?!」


ロロノア「生きろ。高みを目指せ!」


ファル「…!!」


ロロノア「貴様の野望は何だ?」


ファル「ワン…ピースを…見つける…事だ…。そんで、エメラル…D…スフィンクスに…会う…んだ…。」


ロロノア「スフィンクス…。懐かしい名前だ。」


ファル「スフィンクスを…知ってるの…か…?」


ロロノア「俺の昔の…」







ロロノア「船長だ。」
ワンピースは存在する。





…白ひげの言葉を聞いた多くの若者は、海に命を懸けただろう。

ファルも、この島を守ってくれた白ひげの死で、海へ出る事を決意した。…白ひげが捜し求めたワンピースを探すため。そして大海賊、エメラルド・スフィンクスと会うため。

ファルには、スフィンクスが父のような気がした。苗字が違うのに、なぜかって…?


白ひげは、覇気の直前に確かに言っていたんだ。「エメラル・D・スフィンクス」と…!!



エメラル・D・ファル



父さんは、俺を守るために自身を「エメラルド」と名乗ったのだろうか。俺を狙われないようにするために、水面下に隠れていたのだろうか。


分からない。


偉大なる海賊、破壊神と呼ばれた男。自らを死んだと見せかけてまで、実の息子を、守りたかったのか…?!



少なくとも破壊神は、全てを破壊する悪魔のような人間ではないらしい。







スフィンクス…。
その海賊に会う手がかりはないが、この海のどこかに彼がいるとしたら…?!




ファルが動かないわけもなかった。







ファル17歳の時。










出航。
エメラル・D・ファルが、まだ5歳の時だった。
ファルには両親がいない。父は海賊で、母は殺されたらしいが、どちらの顔も見たことは無かった。

ファルには憧れの海賊がいた。


ーーエドワード・ニューゲート

通称白ひげである。

白ひげは、当時 ゾロ海賊団に支配されていたこの島、ルビー島を救い、平和をもたらしてくれた。


しかし先日の頂上決戦にて、敗れたのである。

海軍本部の大将三人である赤犬、青雉、黄猿に攻撃を仕掛けられた他、七武海をも立ち塞がった。

白ひげは、死刑される息子(エース)を助けようとした。そして、地震の能力、グラグラで、海軍を倒すことも可能だった。
しかし白ひげが最後に残した言葉は、こうだ。

「俺が生きれば、海軍本部が死に、世界は破滅する。ならば我が命、ここで絶とうじゃないか。エースは任せたぞ。息子、マルコよ…。」


マルコ「親父!何言ってんだヨイ。あんたならこの世界を生き抜く事くらい出来るだろ?…ロジャーと戦った唯一の男じゃないのかヨイ」

白ひげ「…なぁ、スフィン、お前は今どこにいる…?かつてロジャーと戦ったのは俺だけじゃない。お前ならこの世界を保てるだろ?…スフィン、荒れた海賊時代、お前に託した。グララララ!」

マルコ「…スフィン?」


赤犬「エメラルド・スフィンクス、通称破壊神スフィン。」

青雉「そのあまりに強大なパワーから、その存在さえ無かったことにされていた…。」

黄猿「ロジャー時代、白ひげ時代、常に水面下に隠れていたが…」

センゴク「…やはり、生きていたのか?」


白ひげ「死んでるわけないだろ、ロジャーと渡り合った海賊が!…スフィン時代が、始まるのさ!」


白ひげ「ワンピースは、存在する!」




白ひげは自分の命と引き換えに、最大の覇気を使った。大将三人、元帥センゴク、七武海、そして白ひげ海賊団の隊長達以外は、全員命を落とした。

弱者は、この偉大なる海賊、白ひげの覇気には耐えられないのだ。





新たな時代が、始まろうとしていた。

時は大海賊時代。

ゴール・D・ロジャーの名言により、始まったこの時代に、

多くのルーキー達が帆をあげる。


エメラル・D・ファル もその一人であった。


この物語は、主人公「エメラル・D・ファル」が、

この海賊時代を生き抜き、ワンピースを求めるものである。


敵となるのは、麦わら海賊団だけではない。

三刀流海賊団(船長ゾロ)

黒足海賊団(船長サンジ)

赤髪海賊団(船長シャンクス)


そして、四皇の頂点に立つ

旧白ひげ海賊団 現不死鳥海賊団(船長マルコ)


よりダイナミックになった ワンピースの世界。

今、始まる!